セッション情報 |
一般演題(ポスター)
|
タイトル |
P049 小腸粘膜脂質吸収機構は代償されるのか-βリポ蛋白血症に見られた小腸脂肪滴の経時的変化からの推察-
|
演者 |
岡田俊英(金沢大学医学部附属病院消化器内科) |
共同演者 |
三輪一博(金沢大学医学部附属病院消化器内科), 波佐谷兼慶(金沢大学医学部附属病院消化器内科), 飯田文世(金沢大学医学部附属病院消化器内科), 三林寛(金沢大学医学部附属病院消化器内科) |
抄録 |
【背景】無βリボ蛋白血症は著しい低コレステロール血症低トリグルセリド血症を来たす極めて稀な常染色体劣性遺伝性疾患で網膜色素変性有棘赤血球症Friedreich型運動失調脂肪吸収障害を特徴とする疾患とされる.疾患の原因遺伝子はMicrosQmal triglyceride transfer protein:MTPとされその異常により小腸で吸収された食事性脂肪はリボ蛋白として転送されずに細胞内に蓄積するため脂肪吸収が障害され沈着した脂肪滴により腸管粘膜は黄白色を呈しまた肝で合成された脂肪も全身に転送することなく肝細胞内に蓄積し脂肪肝を呈する.【目的1本疾患はその遺伝子異常を背景とし小腸の脂肪吸収部位に一致し粘膜内に脂肪沈着を呈する本疾患の経時的内視鏡検査による脂肪沈着の範囲の変化を観察することで疾患の進展に伴う小腸の脂肪吸収領域の変化を観察することを目的とした.【方法】MTP遺伝子異常が同定され無βリボ蛋白血症と確定診断された患者において1990年2007年に施行された上下部消化器内視鏡検査(小腸内視鏡を含む)における内視鏡所見および組織像を比較検討した.【結果】1990年の内視鏡検査では十二指腸から空腸におよぶ脂肪沈着を内視鏡的にも組織学的にも認めたが回腸末端大腸には脂肪滴の沈着は認めなかった.一方2007年に施行された内視鏡検査においては上部消化管のみならず回腸末端およびバウヒン乞田にまで脂肪滴の沈着を内視鏡的組織学的に認めた.【考案】無βリボ蛋白血症において経時的に消化管脂肪沈着の範囲が拡大し回腸末端部からバウヒン部に及んだ症例を経験した.このことは本来の脂肪吸収部位に障害を来たした場合回腸もその機能を代償する可能性が示唆されるものと考えられた. |
索引用語 |
|