セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P054 閉鎖孔ヘルニア19例の臨床的検討

演者 中山隆盛(静岡赤十字病院)
共同演者 嶋田俊之(静岡赤十字病院), 新谷恒弘(静岡赤十字病院), 白石好(静岡赤十字病院), 森俊治(静岡赤十字病院), 磯部潔(静岡赤十字病院)
抄録 【はじめに】閉鎖孔ヘルニアはまれな鼠径部のヘルニア(O.05-O.14%)でありしばしば腸閉塞の要因(O.2-1.6%)となる疾患である.術後の合併症は高率(11.6%)であり死亡も高率(3.9%)であるためその的確な診断と治療は重要である.【目的および方法】今回われわれは閉鎖孔ヘルニアの臨床的特徴を明らかにするため1991年9月より2007年5月までに手術を施行した閉鎖孔ヘルニア19例を検討した.【結果および考察】平均年齢79歳であり女性18例・男性1例右側9例・左側10例であった.全例が嘔吐および腹痛などの消化器症状を呈しうち7例が以前にも同様の症状を経験していた.出産は平均2.9人BMIは平均15kg/m2(正常18-26)WBCは平均7100/mm2CRPは平均1.9mg/d1であった.基礎疾患は16例(22疾患)に認められた。うち脊柱変形および肺の8疾患は腹圧の上昇が生じるためヘルニアの誘因になったとも考えられた.18例(95%)は術前に診断が可能でありCTにより診断された15例は全て正身であった. Howship-Rolnberg signは75%が陽性であった.外科手術は全身麻酔が84%鼠径法が58%腸切除が32%メッシュ使用が63%またRichterヘルニアが47%であった.小腸嵌頓は13例(68%)に認められた.うち腸切除を施行した6例(30%)はCRPが高い症例および手術まで時間を要した症例であった(p= NS)術後合併症は3例ありうち1例が肺炎にて術後2ヶ月で死亡した.術後観察は平均42ヶ月であり再発は認められていない.【結論】高齢・多産・痩身な女性に対する非特異的な小腸閉塞は閉鎖孔ヘルニアを考慮する.閉鎖孔ヘルニアの診断はCTが有用であった.早期診断により低侵襲な治療法の選択が可能になると考えられた.
索引用語