セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P055 家族性大腸腺腫症(FAP)の術後回腸人工肛門に発生した小腸癌の1例

演者 梅村賢(東北大学大学院消化器病態学)
共同演者 野村栄樹(東北大学大学院消化器病態学), 荒井壮(東北大学大学院消化器病態学), 木村智哉(東北大学大学院消化器病態学), 相澤宏樹(東北大学大学院消化器病態学), 植木紳夫(東北大学大学院消化器病態学), 志賀永嗣(東北大学大学院消化器病態学), 松浦真樹(東北大学大学院消化器病態学), 遠藤克哉(東北大学大学院消化器病態学), 角田洋一(東北大学大学院消化器病態学), 松村吉史(東北大学大学院消化器病態学), 横山大(東北大学大学院消化器病態学), 根来健一(東北大学大学院消化器病態学), 高木承(東北大学大学院消化器病態学), 相原裕之(東北大学大学院消化器病態学), 高橋成一(東北大学大学院消化器病態学), 木内喜孝(東北大学大学院消化器病態学), 下瀬川徹(東北大学大学院消化器病態学)
抄録 【はじめに】家族性大腸腺腫症(以下FAP)は大腸癌の他に胃癌や十二指腸乳頭癌の合併が知られているが空回腸に癌を合併する頻度は少なく特に回腸人工肛門部や術後吻合部に発生する症例は稀である.今回我々はFAPの術後回腸人工肛門に発生した小腸癌の1例を経験したので報告する。【症例】58才男性1980年にFAPと診断され同年6月に大腸全摘出術・回腸人工肛門造設術を施行されている.1997年頃より人工肛門部に隆起を認め2002年頃より同部の腫瘤形成を自覚するも受診せず放置していた2006年12月近医受診時に回腸人工肛門に約5cm大の結節性腫瘤を指摘され2007年7月15日当科紹介.生検検査を施行したところt腺癌を疑う異型上皮の診断だった.血清CEAは6.1ng/mlと軽度上昇しておりFDG-PETでは人工肛門に限局した強い集積(SUVmax5.7)が認められた.小腸造影上空回腸にポリポーシスは認められなかった.回腸人工肛門に発生した小腸癌として9月12日当院胃腸外科にて小腸部分切除術・回腸人工肛門再造設術を施行した.切除標本の病理組織学的検査では腫瘍径65×40mm高分化腺癌深達度sm脈管侵襲陰性だった.病変は回腸人工肛門に限局しており皮膚への浸潤を認めずリンパ節転移も陰性だった.術後経過は良好で9月30日退院した.【考察】回腸人工肛門に発生する小腸癌(ileostomy carci-noma)はFAPの他に潰瘍性大腸炎Crohn病などでも報告されている.発生機序としてこれらの疾患背景に加えて物理学的接触や機械的化学的因子などが総合的慢性的に加わって癌化すると言われているが詳細は不明である.回腸人工肛門造設後長期経過例では本症例のように小腸癌の発生の報告があり本疾患の合併を考慮した術後経過観察を行う必要が有ると考えられた
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