セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P085 成人腸重積症を合併した上行結腸脂肪腫の1例

演者 保田智之(総合病院庄原赤十字病院内科)
共同演者 上田裕之(総合病院庄原赤十字病院内科), 大野敦司(総合病院庄原赤十字病院内科), 宮田康史(総合病院庄原赤十字病院内科), 大西真由(総合病院庄原赤十字病院内科), 小林隆彦(総合病院庄原赤十字病院内科), 西村直之(総合病院庄原赤十字病院内科), 鎌田耕治(総合病院庄原赤十字病院内科), 服部宜裕(総合病院庄原赤十字病院内科), 中島浩一郎(総合病院庄原赤十字病院内科), 中西敏夫(総合病院庄原赤十字病院内科)
抄録 【症例】78歳男性【主訴】左上腹部痛下痢【現病歴】某年8月中旬より左上腹部痛と下痢が出現したため近医受診.補液等にて経過観察されるも症状軽快しないため再度受診し腹部造影CTにて横行結腸に著明な壁肥厚を認めたため大腸癌を疑われ当院紹介受診となった.【現症】心窩部から左悸肋部にかけて圧痛を伴う手拳大の腫瘤を触知.【腹部造影CT】横行結腸の重積所見と著明な壁肥厚あり.矢状断で同部はtarget signを呈した.その先進部として左側腹部に5cm大の脂肪濃度と相当するlow densityなmassを認め大腸腫瘍に起因した腸重積と診断.【下部消化管造影】下行結腸にかに爪様所見を認め腸重積と診断【下部消化管内視鏡】脾奪曲部に球状の巨大な腫瘤を認めた.腫瘤の表面は正常粘膜に覆われており硬い印象とdelleの形成からGISTと診断.【経過】以上の所見よりGISTによる腸重積と診断したがCT所見より脂肪腫の可能性も考えられた.内視鏡的に整復に成功し上行結腸から発生した腫瘍であることが確認された.GISTであれば腫瘍径が5cmと大きく絶対的手術適応でありまた再発の可能性も高いと考え内視鏡的切除を断念し8月下旬に外科転科となった.【手術所見】腫瘍は上行結腸の中腹に位置し上行結腸自体の可動性は良好であった.病変部位は5cm大の表面不整球状の腫瘍であった.病理組織学的には脂肪腫と診断された.【考察】大腸脂肪腫は成熟した脂肪細胞と少量の血管を含む結合組織からなる良性軟部腫瘍である.本症は発見頻度が2.9~3.1%と比較的稀な疾患であり腸重積の合併はその35%程度と報告される.発生部位は横行結腸盲腸上行結腸S状結腸の順に多い.本症例は上行結腸脂肪腫を先進部とする成人腸重積症であり非常に稀な症例と考え若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語