セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P088 腸重積で発症した大腸神経鞘腫の1例

演者 石川秀樹((財)永寿総合病院)
共同演者 和田剛幸((財)永寿総合病院), 千葉斉一((財)永寿総合病院), 板野理((財)永寿総合病院), 小山恭正((財)永寿総合病院)
抄録 【はじめに】大腸に発生する神経鞘腫は希な疾患でありしかもvon Reckling-hausen病に伴うことが殆どであるといわれる.このため孤発性の神経鞘腫は大腸では非常に稀少である今回われわれは腸重積で発症した上行結腸の神経鞘腫を内視鏡的に切除し得たので文献的考察を加え報告する.【症例】46歳の女性.主訴:腹部膨満感生来健康だったが腹部の膨満感と鈍痛が出現し摂食量が減少下痢と便秘を繰り返し体重が1ヶ月で約5kg減少したため当院内科を受診上部消化管内視鏡を施行するも異常なく下部消化管内視鏡は横行結腸までしか届かず中断されていた.発症から2ヶ月経った時点で腹痛が増強しその間隔も短くなったため腹部CTを撮影したところ、上行結腸から横行結腸にかけて腸重積の所見を認めたため当院外科に紹介された右上腹部に腫瘤を触知したが排便・排ガスもあり腹痛は自制内であったため緊急手術を行わずに先ずガストログラフィンによる注腸整復を施行したところ横行結腸脾奪曲付近に達していた先進部は上行結腸口側まで容易に整復された.腸管洗浄液を服用の上後日下部消化管内視鏡を再検したところ上行結腸内腔を殆ど塞ぎ表面を壊死組織に覆われた巨大なIp型ポリープを認めた.結腸切除術を考慮したが生検では悪性所見が得られず生検と治療を兼ね再度下部消化管内視鏡を施行.スネアにて茎を絞掘後に焼灼切除し内視鏡的に一括切除した.腹痛は速やかに消失し下血もなく経過.切除の2日後に軽快退院した切除標本は最大径40皿mに達し病理学的には神経鞘腫と診断され切除断端は陰性であった.【結語】孤発性の神経鞘腫を内視鏡的に切除し腸重積・腸閉塞を解除し得た症例について報告した.本症例は原因となった腫瘍が1)大腸に発生することが非常に希な神経鞘腫であったことかつそれが2)長い茎を持ち腸重積の先進部となっていたこと3)内腔を塞ぐほど大きかったが内視鏡的治療を施行し得たことから貴重な症例である.
索引用語