セッション情報 パネルディスカッション21(消化器外科学会・消化器病学会合同)

局所進行膵癌に対する治療戦略

タイトル 外PD21-8:

局所進行膵頭部癌に対する治療戦略 ―Mesopancreasに重点を置いて―

演者 北川 裕久(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科)
共同演者 太田 哲生(金沢大・消化器・乳腺・移植再生外科)
抄録 膵頭部癌では、進展範囲をミリ単位で正確に診断し、進展範囲に応じた術式を立案し、実臨床に反映できる病理検索を行い術前診断にフィードバックすることが治療成績向上に必須であり、当院では内科・外科・放射線科・病理が一体となった膵癌診断治療チームで行っている。それによって、非常に精度の高い手術が可能となり、R1となる可能性が高い場合は切除以外の治療を選択している。特に術式は、2群までのリンパ系郭清を基本的切除とし、それに加えてsurgical marginを十分陰性にするためのSMA神経叢郭清を浸潤の程度によって4段階に分け、SMA・SMV合併切除も含めて立案している。このコンセプトの根拠は、1:2群までのリンパ系郭清は、リンパ流域(basin)を、リンパ節も含めて一括切除の切除されるべきである、2:2群までのリンパ系郭清の点からは、膵頭神経叢の切除は必要だが、SMA神経叢の切除は必要ない(SMA神経叢の切除は直接浸潤に対して行うもの)、3:膵頭部癌で問題となる膵頭神経叢からSMA神経叢への進展は連続進展で、造影MDCTで主腫瘍から伸びる粗大網状影あるいは腫瘤・索状影として確実に捉えられる、である。特にリンパ系郭清のポイントは、膵頭(腹側膵)前面に位置する小腸間膜根部は膵頭固有の間膜であるMesopancreasでもあるため、膵頭下縁の十二指腸水平脚レベルまで行うこと、神経叢郭清のポイントは、神経叢浸潤の範囲をMDCTにて確実に診断して神経叢浸潤なしと診断された場合にはSMA神経叢を温存するが、神経叢浸潤ありと診断された場合にはサージカルマージンを十分陰性にできる切除を計画することである。【成績】2002年から現在までの膵頭部癌切除67例のうち、R0は50例(StageI,II,III,IVa,IVbは3,0,13,16,18例)5生24%,MST22Mであった。R0症例の成績(術死在院死を含む)は、N0:15例で5生68%,MST27M、N1:11例で5生20%,MST28M、N2:20例で5生8%,MST18Mであった。PL(-):20例5生40%,MST28M、PL(+):29例5生15%,MST19Mであった。SMA合併切除16例5生23%,MST16Mであった。
索引用語 Mesopancreas, 膵頭部癌