セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P130 十二指腸狭窄で発症し十二指腸動脈瘤を認めたgroove pancreatitisと考えられた一例

演者 島田直(徳島赤十字病院消化器科)
共同演者 吉田智則(徳島赤十字病院消化器科), 桑山泰治(徳島赤十字病院消化器科), 一宮理子(徳島赤十字病院消化器科), 後藤田康夫(徳島赤十字病院消化器科), 金崎淑子(徳島赤十字病院消化器科), 新谷保実(徳島赤十字病院消化器科), 佐藤幸一(徳島赤十字病院消化器科), 宮恵子(徳島赤十字病院消化器科), 長田淳一(徳島赤十字病院消化器科), 片岡孝一(片岡内科消化器クリニック)
抄録 Groove pancreatitisとは「膵頭部総胆管十二指腸に囲まれた溝(groove)に限局して発生する慢性膵炎」と定義されているしばしば腫瘤形成・十二指腸狭窄を来すため臨床的に悪性腫瘍との鑑別が問題となる.今回我々は十二指腸狭窄を来し十二指腸動脈瘤を認めたgroove pancreatitisと考えられる一例を経験したので報告する.症例は42歳男性.既往歴・家族歴に特記事項なし.平成18年年末から年始にかけて多量の飲酒をした.1月3日より右下腹部痛を自覚.6日以降排便なく10日より食欲低下嘔吐するようになり、1月15日に当院を受診した受診時の腹部CTでは幽門狭窄が疑われたため入院して胃管を留置した17日に上部消化管内視鏡検査を施行したところ幽門の通過は良好であり十二指部下行脚が浮腫状に狭窄していた.十二指腸粘膜生検組織はchronic duodenitisであった。透視検査で十二指現下行脚の閉塞像があり造影CTで径2cmの十二指腸動脈瘤がみられ膵頭部はやや腫瘤様に見えた.MRIMRCPでは異常が見られなかった.悪性腫瘍が否定できなかったためFDG-PETを施行したが悪性腫瘍とは考え難い像であった.腹部血管造影検査では腹腔動脈起始部に解離が認められ十二指腸動脈(前膵十二指腸動脈弧)に2cm大の動脈瘤を認めた.十二指腸動脈瘤破裂の危険を考慮し十二指腸狭窄に対する手術よりも動脈瘤に対しての治療を優先すべきと考え後日コイル塞栓術を行うこととしたが後日の血管造影では十二指腸動脈瘤が縮小していたため経過観察となった.3月1日の上部消化管内視鏡検査では十二指腸水平脚まで挿入可能であった.その後も腹部造影CTで動脈瘤評価を継続したが動脈瘤は更に縮小し5月に消失した.以降は禁酒・脂肪制限を指導しt現在まで無症状で経過している.
索引用語