セッション情報 |
一般演題(ポスター)
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タイトル |
P168 上部消化管出血を契機に発見し悪性リンパ腫細胞の混在を認めた早期胃癌の1例
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演者 |
廣瀬充明(筑波記念病院消化器内科) |
共同演者 |
牧野維斗映(筑波記念病院消化器内科), 池澤和人(筑波記念病院消化器内科) |
抄録 |
【症例】63歳男性.2007年7月31日吐血・黒色便を生じ当院へ救急搬送となった.緊急上部消化管内視鏡検査にて体上部後壁に出血性胃潰瘍を認めクリッピングによる止血術を施行した.その後再出血なく経過したが上部消化管内視鏡の再検査では出血病巣はH2stageまで改善するも体中部大弩前壁に粘膜下腫瘍を認めe同部位からの生検による病理組織像では悪性リンパ腫(DLBCL)と診断した出血した体上部後壁の潰瘍性病変もDLBCLである可能性を考え再度内視鏡検査を行ったところ出血性胃潰瘍は0-Hc様病変と認識され組織学的に低分化型管状腺癌と悪性リンパ腫細胞の混在を認めた.なお体下部大占には0-IIa病変もあり同部位からは高分化型管状腺癌を認めた.従って本症例は1.体上部後壁に「低分化型腺癌」と「DLBCL」の混在2.体中部大弩前壁にDLBCL3.体下部大戦に0-Ha胃癌(高分化型腺癌)の以上3病変が併存する症例と診断した胃原発のDLBCLであり画像診断にてリンパ節の腫大を認めなかったため治療としては胃全摘出術を選択した.なお今後は外来にて悪性リンパ腫に対する化学療法の迫加を予定している.【考察】胃癌と原発性胃悪性リンパ腫が同時性に重複した症例は少なくないが今回は多彩な内視鏡像を呈しかつ発見の契機となった出血を来した病巣では1個の生検検体中に腺癌とリンパ腫細胞の混在を認めるという症例を経験した.阪本らの報告では悪性リンパ腫と腺癌の同時性重複症例に対し初期治療として手術が施行された38例中両病変いずれもが術前診断できた症例は5例(13%)と少なかった.また今回の様に癌腫と肉腫が混じり合って増殖し両者間に実質と間質の関係を伴っていない相接腫瘍は3例(7%)と稀であった.内視鏡学的所見だけでの鑑別診断は極めて難しく綿密な生検検査による確実な病理診断を下すことが重要であると考えられた. |
索引用語 |
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