セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P170 胃横行結腸瘻を伴った胃癌の2手術例

演者 寺岡均(馬場記念病院外科・消化器科)
共同演者 柏木伸一郎(馬場記念病院外科・消化器科), 大平豪(馬場記念病院外科・消化器科), 玉森豊(馬場記念病院外科・消化器科), 堀田潔(馬場記念病院外科・消化器科), 中谷雅美(馬場記念病院外科・消化器科), 河内屋友宏(馬場記念病院外科・消化器科), 原順一(馬場記念病院外科・消化器科), 新田敦範(馬場記念病院外科・消化器科)
抄録 今回我々は胃横行結腸痩を伴った胃癌の2手術例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.(症例1)45歳男性.主訴は腹痛熱発.来院頚上腹部に巨大な腫瘤を触知した.上部消化管内視鏡検査にて胃体中部大轡に白苔を伴った粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.生検の結果は粘液腺癌であった.上部消化管造影では胃体部大幅側9cm大の巨大な陰影欠損を認めたが横行結腸への造影剤の流出は認めなかった.下部消化管内視鏡検査では横行結腸左側に粘膜の発赤・浮腫を認めた.また腹部CTでは胃腫瘍以外に腹腔内に腫瘤を数ケ認めdisseminationが強く疑われたj以上より胃癌の診断のもと手術を施行した術中所見にて腹膜播種性転移を伴った隠鬼発育型胃癌による胃横行結腸痩と診断したが年齢等を考慮し幽門側胃切除術・横行結腸合併切除を施行した.術後補助化学療法施行し術後3年6か月の現在も生存社会復帰されている.(症例2)69歳男性。主訴は下痢嘔吐食欲不振上部消化管内視鏡検査にて胃体上部から中部後壁に3型の腫瘍を認めその最深部で腸粘膜が観察された上部消化管造影では胃体上部から中部の大奪側後壁に辺縁不整な陰影欠損を認め潰瘍底から横行結腸への造影剤の流出を認めた.以上より胃横行結腸痩を伴った胃癌の診断のもと胃全摘術および膵体尾部脾横行結腸Treitz部空腸左副腎合併切除を施行した.術後1年8ヶ月後に癌死するまで自宅での良好な日常生活が可能であった.胃結腸痩を伴った胃癌の切除報告例は比較的少ないが同症例においては癌の進行度以上に全身状態が悪いことも多く積極的な治療がなされないまま死亡している可能性も考えられる.我々は経過の異なる2症例を経験し長期生存を得ている.同症例においては術前の全身状態に惑わされることなく手術適応を判断することが肝要であると考えられた.
索引用語