セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P174 内視鏡的粘膜切除術を契機に発症した化膿性門脈炎の一例

演者 加藤元彦(大阪府立成人病センター消化器内科)
共同演者 上堂文也(大阪府立成人病センター消化器内科), 木津崇(大阪府立成人病センター消化器内科), 三好里佳(大阪府立成人病センター消化器内科), 井上拓也(大阪府立成人病センター消化器内科), 増田江利子(大阪府立成人病センター消化器内科), 辰己功一(大阪府立成人病センター消化器内科), 竹内洋司(大阪府立成人病センター消化器内科), 東野晃治(大阪府立成人病センター消化器内科), 石原立(大阪府立成人病センター消化器内科), 飯石浩康(大阪府立成人病センター消化器内科), 竜田正晴(大阪府立成人病センター消化器内科)
抄録 【目的】化膿性門脈炎は大腸憩室炎などの腹腔内感染に続発して発症するまれな病態である.今回われわれは早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除術(以下EMR)後に敗血症性ショックと門脈内血栓を来たし化膿性門脈炎と診断した症例を経験したEMR後の化膿性門脈炎については過去に報告例もなく極めてまれな合併症であると考えられたため文献的考察を加えて報告するt【症例】60歳代男性体下部大弩にφ7mm大の0∬a型早期胃癌を指摘され当科入院.2チャンネル法にて一括でEMRを施行.動脈性の出血に対して焼灼止血を要したが特に問題なく処置を終了した.術後第2病日より39℃台の発熱が持続腹部症状は認めなかったce-fotiamを投与したが改善せず第4病日に胸腹部単純CTを施行.穿孔や肺炎の合併を認めなかった原因検索のため同日上部消化管内視鏡検査を施行.EMR後の潰瘍は辺縁の浮腫が目立ったが穿孔は認められなかった検査終了直後よりシバリング意識障害が出現ショック状態となった.EMRに関連した腹腔内の何らかの感染巣を疑い造影CTを行ったところ肝内門脈三葉枝に血栓を認め化膿性門脈炎と診断.経鼻胃管による減圧meropenemgabexate mesilateの投与を行ったところ速やかにショックを離脱以後熱型も改善し第30二日退院となった.現在無症状で外来通院中である.【考察】文献検討では胃潰瘍からの口腔内細菌の感染により化膿性門脈炎を来たした報告があり本症例でも同様の機序が推測された.【結論】早期胃癌のEMR後に化膿性門脈炎を来たした一例を経験した.過去の報告では化膿性門脈炎は死亡率が高い病態であるが近年の画像検査の進歩や広域抗生剤の開発などによる適切な治療により本症例のように良好な予後:も期待できるのでEMR後に持続する発熱を認めた場合は化膿性門脈炎を鑑別にあげ造影CTなどにより血管病変の評価を行う必要もあると考えられる.
索引用語