セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P183 腸炎による極度の脱水にて発症した非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI)の一例

演者 寺岡恵(湘南厚木病院外科)
共同演者
抄録 【目的】腸間膜虚血による腸壊死は一般的にSMA血栓症やその他絞悟性腸閉塞などに起因する症例は数多く発表されているが今回私達は腸炎による極度の脱水が原因と思われる非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI)の小腸壊死の一例を経験したのでここに発表する【症例】47歳男性.統合失調症により他院入院中に急性腸炎による水様下痢を認め3日後腹痛・腹部膨満の増悪ということで当院へ紹介受診となった.受診時はすでに血圧60/32mmHg・脈拍140回/分のショック状態であり受診後1時間の間に腹膜刺激所見が著明となっていった.採血データにてWBC18500・CRP25・BUN34・CRE3.6のように炎症反応の高値と脱水によると思われる腎機能障害を認め腹部CTにて著明な門脈内・SMV内ガスと一部小腸の壁内気腫またIVCの強い虚脱を認めた.腸管壊死の診断で緊急手術施行.開腹すると小腸は全体的に暗赤紫色を呈しているが全てが完全壊死所見というわけではなくSMAの血流も保たれていた.一部最も変色の強い約100cmの小腸を切除した.残存腸管のviabilityの評価に難しかったため一期的吻合は行わずsecond look手術の予定とし閉腹した.病理診断では粘膜の壊死・脱落あるも固有筋層以下の変化に乏しくまた腸間膜血管の血栓などの所見もなくNOMIと診断した.術後はエンドトキシン吸着・CHDFなどの集学的治療を施したが敗血症によるDICが進みsecond look手術をできないまま術後24時間で死亡した.【結語】非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI)は急性腸間膜虚血症の約20-30%を占める.種々の原因により腸間膜血管のれん縮により腸管の虚血をおこすしかし可逆性のこともあり全てが手術の適応というわけではない.症例により診断が早ければ塩酸パパペリンなどの血管拡張剤の使用にて改善することもありNOMIの概念をもっと周知させることが必要であると感じた.
索引用語