セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P187 短鎖脂肪酸によるヒト大腸筋線維芽細胞からのMMP産生の制御

演者 河村隆登(滋賀医科大学消化器内科)
共同演者 安藤朗(滋賀医科大学消化器内科), 塩谷淳(滋賀医科大学消化器内科), 西田淳史(滋賀医科大学消化器内科), 八木勇紀(滋賀医科大学消化器内科), 辻川知之(滋賀医科大学消化器内科), 安井裕之(京都薬科大学薬学部代謝分析学教室), 藤山佳秀(滋賀医科大学消化器内科)
抄録 [背景]下部消化管内では食物線維の嫌気性菌による分解(発酵)によりさまざまな平群脂肪酸が産生される.これらの引割脂肪酸は上皮細胞のエネルギー源となり上皮細胞の増殖に係わっているほか免疫担当細胞の修飾などさまざまな効果で腸内環境に影響を及ぼしている.一方炎症の場において粘膜局所で産生されるさまざまな蛋白分解酵素が組織破壊に関与しているがそれらの中でもメタリックスメタロプロチナーゼ(MMP)は細胞外基質の破壊を介して中心的役割をはたしている.今回ヒト大腸より分離した筋線維芽細胞を用いて炎症性サイトカイン刺激により誘導されるMMP-1MMP-3産生に対する酢酸プロピオン酸酪酸の効果を検討した.[方法]ヒト大腸筋繊維芽細胞を短鎖脂肪酸存在下非存在下にIL-1βTNF一αで刺激しMMP-1MMP-3 mRNA発現をRT-PCR法培養上清中のMMP-1MMP-3濃度をELISA法にて検討した.[結果]大腸筋繊維芽細胞にIL-1βTNF一α刺激によりMMP-1MMP一・3mRNA発現および蛋白産生が誘導された.酢酸はこれらのMMP-1MMP-3産生に効果を示さなかったがプロピオン酸酪酸は濃度依存性にこれらを抑制した抑制効果はプロピオン酸に比較して酪酸の効果が有意に強かった.またMMP-1に対する効果に比較してMMP-3に対する効果が強かった.これらの効果はmRNAレベルでも確認された.同様の効果がトリコスタチンAにも認められた。[考察]食物線維の発酵により誘導される短鎖脂肪酸のなかでもプロピオン酸酪酸にMMP産生に対する抑制効果が認められたヒストンアセチル化の阻害剤トリコスタチンAにも同様の効果が認められたことから短鎖脂肪酸の効果の一部はヒストンアセチル化の阻害作用と関連している可能性が示唆させた.
索引用語