セッション情報 | 一般演題(ポスター) |
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タイトル | P215 肝エキノコックス症9例の検討 |
演者 | 三浦紗智子(北見赤十字病院消化器科) |
共同演者 | 渡辺雅男(北見赤十字病院消化器科), 工藤大樹(北見赤十字病院消化器科), 寺下勝巳(北見赤十字病院消化器科), 森康明(北見赤十字病院消化器科), 上林実(北見赤十字病院消化器科) |
抄録 | 当院ではこれまで9例の肝エキノコックス症を経験したのでその臨床像につき検討し報告する.【対象】1993年より2007年までの15年間に当院で経験した肝エキノコックス症9例につき検討した.【検討項目】(1)診断の契機(2)肝病変の個数(3)病変の石灰化の有無(4)肝外病巣の有無(5)血清中抗エキノコックス抗体反応の結果(6)肝切除術の有無(7)経口治療薬投与の有無(8)治療後の効果(9)生存期間の各項目について検討した【結果】診断時の年齢は16歳から68歳まででt男性7例女性2例であった.(1)診断の契機 エキノコックス検診陽性が2例一般検診の胸部写真と腹部エコーで異常指摘されたのが2例他疾患で通院中に偶然発見されたのが3例不明1例で有症状で発見されたのは1例のみであった.(2)肝病変の個数 単発が4例(径3.O-7.Ocm双葉3例・心葉1例)2個が3例(径1.0-6.5cm細葉に2個が1例・左右に各1個が2例)両葉に3個以上の多発2例であった.(3)石灰化の有無 画像が残っておらず不明であった1例を除き6例に石灰化を認め2例には認められなかった.(4)肝外病変の有無 1例に肺転移を認めた.(5)血清反応 抗エキノコックス抗体は全例陽性であった.(5)切除術の有無 9例中4例に切除術が施行された.うち2例に切除後再発を認めた.(6)経口治療薬の有無 全例にアルベンダゾールが投与された.うち4例は肝切除術後の補助療法であるが2例に再発を認めた.非切除例の5例中に2例で縮小傾向を認め3例で変化なかった.(7)生存期間 全例生存しており生存期間は2年5か月一14年3か月であった.【結論】肝エキノコックス症は従来北海道を中心に発生していたが近年本州への拡大が懸念されている.その診断においては石灰化を認めない例も少ないながら存在するため注意が必要であり肝に多房性嚢胞性病変を認めた時は本疾患も念頭に入れて血清抗体反応を検索する必要がある. |
索引用語 |