セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P218 重症型アルコール性肝炎の一例

演者 足立加津彦(済生会江津病院)
共同演者 萬憲彰(済生会江津病院), 北村厚(済生会江津病院), 藤井康善(済生会江津病院), 堀江裕(済生会江津病院), 堀江靖(鳥取大学医学部附属病院病理部)
抄録 アルコール性肝炎(AH)の中でも急性腎不全消化管出血等諸種の合併症を認め多くは1ヶ月以内に死亡するものを重症型アルコール性肝炎(SAH)という. SAHでは諸種の治療が試みられているが確立された治療法はない.今回副腎ステロイドグルカゴンーインスリン(GD療法血漿交換(PE)の併用にて救命しえたSA且の一例を経験したので報告する【症例】54歳男性【主訴】黄疸食欲低下【既往歴】糖尿病アルコール性肝障害【生活歴】日本酒1日3合より漸増入院前1日1升.喫煙1日40本【現病歴】平成19年6月26日黄疸食欲低下にて近医より当科紹介.来院世才腫大副耳:認め血液検査で肝胆道系酵素上昇白血球上昇あり同日入院とした.CT上肝腫大脂肪変性脾腫を認めた.入院後断酒UDCA内服行うも肝腫大は持続腹水や浮腫も出現し高アンモニア血症および1度肝性脳症を認めた.総ビリルビン14.9mg/dl白血球36400/mlt好中球84.5%と著増認めSAHと診断した.診断後GI療法副腎ステロイドPE開始した.症状血液検査所見は徐々に改善し9月18日退院以後外来加療とした.【考察】SAH発生の原因としてT連日の過剰飲酒による肝町内系機能低下腸管透過性充進に基づいたエンドトキシン血症続発する炎症性サイトカイン産生全身性炎症反応微小循環障害がある.発症前1ヶ月間の連日過剰飲酒をSAHの81.5%に認めるが年齢飲酒期間積算飲酒量ではAHとの間に差を認めない。副腎ステロイドGI療法血液浄化療法白血球除去などが有効であったとする報告が散見されるが単独で予後を改善する治療法はない.今回常習的な飲酒および連日の過剰飲酒が契機となりSAHが発症し炎症性サイトカイン産生を抑制する目的で副腎ステロイドを肝障害の治療としてGI療法PEを施行し救命しえた.副腎ステロイドGI療法PEはSAHに対し有効な治療となり得ると考えられた.
索引用語