セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P220 急性肝炎様に経過した非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の1例

演者 安部宏(東京慈恵会医科大学青戸病院消化器・肝臓内科)
共同演者 吉澤海(東京慈恵会医科大学青戸病院消化器・肝臓内科), 久保恭仁(東京慈恵会医科大学青戸病院消化器・肝臓内科), 北原拓也(東京慈恵会医科大学青戸病院消化器・肝臓内科), 会澤亮一(東京慈恵会医科大学青戸病院消化器・肝臓内科), 松岡美佳(東京慈恵会医科大学青戸病院消化器・肝臓内科), 相澤良夫(東京慈恵会医科大学青戸病院消化器・肝臓内科), 田尻久雄(東京慈恵会医科大学青戸病院消化器・肝臓内科)
抄録 【症例】40歳女性【主訴】上腹部不快感【既往歴】平成10年11月に原因不明の急性肝炎で6ヶ月間のステロイド投与により寛解【飲酒歴】なし【現病歴】平成19年2月5日より上腹部不快感出現し近医受診血液検査にて高度の肝障害を認めたため2月21日当科紹介受診し緊急入院となった.【身体所見および血液検査所見】意識清明貧血・黄疸なし腹部に肝を2横指触知浮腫を認めずWBC9400Hb14.6Platele22.2万AST348ALTIO65LDH238ChE4649T.Bil 1.2ALP271yGT518TTT8.OZTT12.9、 TP7.5Alb4.5.抗核抗体40倍未満抗ミトコンドリア抗体陰性lgG1504lgM169. HBs抗原・HCV抗体ともに陰性【経過】肝障害の原因として平成10年にステロイド治療にて寛解した既往があることから自己免疫性肝炎(AIH)の可能性も考えられたが血液生化学検査所見はAMに典型的でなく飲酒歴もなく急性肝障害出現前に急激な体重増加(3ヶ月で59kg→63kg)を認め画像検査で肝への脂肪沈着所見が存在することから非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が急性肝障害の1因と考え食事制限および減量を行ったところ徐々に肝胆道系酵素は改善した.肝の病理組織学的検索ではグリソン鞘周辺の線維性拡大肝小葉優位の脂肪滴沈着および沈着部位に一致した炎症細胞浸潤を認めNASHに矛盾せずAIHとは明らかに異なる所見であったその後も食事・運動療法ビタミンEなどの抗酸化療法にて改善を認め入院より5ヶ月後には肝胆道系酵素は正常値となり現在のところ再燃は認められていない.【考察】NASHは一般的に脂肪肝から徐々に線維化が進行する慢性の経過をたどることが多いとされ本症例のごとく急性肝炎様の経過をとる例はまれである.脂肪肝からNASHへの移行にはいまだ不明な点が多いがその機序を考える上で示唆に富むと考えられた
索引用語