セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P222 抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性のNASHの5例

演者 宮里賢(医療法人かりゆし会ハートライフ病院内科)
共同演者 新城勇人(医療法人かりゆし会ハートライフ病院内科), 折田均(医療法人かりゆし会ハートライフ病院内科), 仲吉朝邦(医療法人かりゆし会ハートライフ病院内科), 郷克己(医療法人かりゆし会ハートライフ病院内科), 佐久川廣(医療法人かりゆし会ハートライフ病院内科)
抄録 抗ミトコンドリア抗体(AMA)は原発性胆汁性肝硬変(PBC)の約9割で陽性となる.今回我々はAMA陽性であったNASHの5例を経験したので報告する.【対象】AMA陽性で且つ病理組織学的にNASHと診断した5例でうち2例はPBCの経過中にNASHを合併した全て女性で平均年齢59.6±6.4歳(56~71歳〉であった.【方法】BMIASTALTγ一GTPALPAMA抗ミトコンドリアM2抗体IgMHbAlcフェリチン腹部超音波検査病理組織学的所見の各項目について検討した.【結果】各検査データの平均値はBMI 27.8±3.3kg/m2AST 71±27IU/lALT102±56IU/LγGTP 106±75IU/LALP 277±501U/1AMA 100±12倍抗ミトコンドリアM2抗体73±77IgM314±187mg/dlHbAlc 6.6±1.3%フェリチン204士107丁目/mlであった.腹部超音波検査では4例が脂肪肝と診断された.病理組織学的所見では全例が大文性脂肪変性を伴い肝細胞の風船様腫大小葉内炎症細胞浸潤肝細胞周囲の線維化といった典型的なNASHの所見を呈した.【考察】健常者でのAMA陽性率はO.3~0.7%程度とされPBC以外の慢性肝疾患や膠原病等でも低力価陽性となることがある.PBCは中年女性に好発するが一方でNASHの頻度も中年以降の女性で増加する.PBCの2例を含む今回の5症例はいずれもAMA陽性であったものの肝生検の結果から肝障害の原因としてNASHが考えられた.AMA陽性のNASHについての報告は希少で本邦でも昨年AMA陽性のPBCにNASHを合併した3症例が報告されているのみであるまた今回の検討からはAMA陽性のNASH症例における臨床的特徴に関しては指摘出来なかった.【結論】AMA陽性の肝機能障害でもトランスアミナーゼ優位の上昇や肥満糖尿病脂肪肝を合併する際にはPBCだけでなくNASHの可能性も念頭において診療にあたることが重要である.
索引用語