抄録 |
[目的]演者は第39回日本消化器病学会大会(1997年)において血清アミラーゼ低値と膵echogenicity増強との間には密接な関連があることさらに第80回日本超音波医学会(2007年)において膵echogenicity増強にかかわる因子として体重増加高脂血症がありその背景として内臓脂肪蓄積が考えられることを報告した.今回t内臓脂肪型肥満症例にみられた血清アミラーゼ低値の背景にある病態を探る目的で本検討を行った.[対象]飲酒歴がなく「肥満症治療ガイドライン2006」により内臓脂肪型肥満と判定された症例のうち血清アミラーゼ等値(70ソモジー単位未満あるいは401U/i未満)を示し2.5年以上経過観察できた6症例(症例1:36歳女性症例2:36歳女性症例3:47歳女性症例4:49歳女性症例5:46歳女性症例6:16歳t男性)である.なお症例4と症例6は母子関係にある[方法]1.臨床症状の調査(全例)2.腹部超音波検査(全例)3.上部消化管X線・内視鏡検査(症例1~5)4.症例4について体重の変化と血清アミラーゼ値の変動の調査5.症例5について血中インスリン(皿)の調査を行った.[成績]1.6例中5例(83%)に心窩部痛か背部痛6例中2例(33%〉に心窩部痛と背部痛を同時に認めた腹痛例では再発がみられた.2.症例1~4は膵ech(》genicity増強を認め増強を認めなかった症例5は2007年3月9日(58歳)膵萎縮を認め症例6は2007年3月31日(25歳)膵頭部腫大を認めたが7月28日には消失していた.胆石は全例認めなかった3著変なし4. 2001年4月21日体重63kg血清アミラーゼ371U/1であったが5ヵ月後の9月29日には体重58kgと減少したにもかかわらず血清アミラーゼ341U/1と低値のままであった.5.2006年12月1日IRI2.6μU/mlと二値空腹時血糖90mg/dlであった.[考察]腹痛背部痛の出現が高率であり腹部超音波検査にて全例膵に異常所見を認めたことから血清アミラーゼ低値の背景病態は膵炎である可能性が示唆された. |