セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P243 消化管出血をきたした膵癌の一例

演者 上村博輝(済生会新潟第二病院消化器科)
共同演者 樋口和男(済生会新潟第二病院消化器科), 今井径卓(済生会新潟第二病院消化器科), 渡辺孝治(済生会新潟第二病院消化器科), 関慶一(済生会新潟第二病院消化器科), 石川達(済生会新潟第二病院消化器科), 太田宏信(済生会新潟第二病院消化器科), 吉田俊明(済生会新潟第二病院消化器科), 上村朝輝(済生会新潟第二病院消化器科), 石原法子(済生会新潟第二病院病理科)
抄録 要旨:膵疾患により脾静脈閉塞をきたした場合sinistral portal hyper-tentionといわれる病態となり消化器静脈瘤を合併することが知られている.実際破裂に至る症例は少なくまた出血をきたしたものでも病理学的検討がなされている症例は少ない.今回出血部位につき病理学的検討を加えられた症例を経験したので報告する.症例は59歳男性.主訴は貧血発熱.2007年2月初旬より全身倦怠感の出現し近医を受診.採血にて著明な貧血を指摘されたため2月23日当科紹介受診.血液検査にて出血を示唆する貧血とCA19-9の高度上昇を認めた造影CTにて膵尾部癌多発肝転移を認めたが門脈系の側副血行路などは目立たなかった.緊急上部内視鏡にて胃体上部に出現したF1程度の胃静脈瘤と胃静脈瘤を橋渡しする小血管を認めた.しかしながら出血ポイントの同定には至らず.緊急アンギオ検査するも脾静脈の途絶を認めたが動脈性の出血など出血ポイントの同定には至らなかった.入院中に数回の吐下血を繰り返し追加GTF施行し静脈瘤を橋渡しする血管の発達を認めた.おそらくこの部位が出血点と考えたが通常のクリップなどにては止血不可能予後を考え外科的処置などは施行せず輸血などにて対処.4月中旬肝転移進行黄疸も出現し癌死により永眠された.病理解剖にて体上部の静脈瘤またそれを橋渡しする血管につき観察したところ粘膜筋板直下にその血管を認めた.今回は膵癌による消化管出血の症例であったが膵疾患による消化管静脈瘤の頻度としては慢性膵炎によるものが多く治療法としては外科的なHassab手術EISTIPSなどが報告されているまた今回の粘膜筋板近傍に出現した血管の機序は現段階では不明である.
索引用語