セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P244 生前に原発を診断しえなかった膵管癌の癌性腹膜炎の一剖検例

演者 永嶋裕司(聖ヨゼフ病院内科)
共同演者 小野田正美(聖ヨゼフ病院内科), 辻本志郎(横須賀市立うわまち病院病理部), 吉川寛(日本医科大学第一外科), 田尻孝(日本医科大学第一外科)
抄録 今回我々は生前に原発を診断できず剖検にて膵管癌を原発巣と診断した癌性腹膜炎の一例を経験したので報告する【症例】63才男性【主訴】腹満感【既往歴】53才狭心症55才糖尿病【現病歴】平成19年2月上旬頃より腹満感あり近医受診腹部超音波にて大量の腹水を指摘され3月6日当院紹介入院となる.【検査所見】血液生化学検査:入院時はCRP 6.60DUPAN-2>1600、 Span-1290と高値を示した腹部CT:大量の腹水を認めるも明らかな腫瘤は指摘されなかった.水腎症を認めた.胃内視鏡:逆流性食道炎t胃びらんを認めたが明らかな悪性所見は見られなかった.腹水検査:培養は結核菌を含め陰性.細胞診は2回陰性だったが3回目に腺癌を認め癌性腹膜炎と診断した.【入院経過】利尿剤にて腹水の改善を試みたが効果なく腹腔穿刺を行い腹水をドレナージを行った.しかし全身状態は徐々に悪化入院後18日目に永眠され病理解剖を施行した.【剖検所見】肉眼所見:胃幽門部十二指腸胆嚢肝門部にかけ一塊となった腫瘤を認め腹腔内に多発した腹膜播種とみられる結節多数を認めた.膵臓は膵頭部に腫瘤の浸潤を認めるものの明らかな腫瘤は認められなかったその他胃大腸肝臓等腹腔内臓器に悪性を疑わせる所見は見られなかった.病理所見:胃周囲の腫瘤は腹腔内から浸潤した腺癌で他の腹腔内の結節も同様に腺癌の像を呈しており腹膜播種考えられた.膵臓は膵頭部に悪性所見は見られなかったが膵尾部に浸潤性膵管癌を認め原発と考えられた.【結語】生前に原発を指摘しえず剖検により膵管癌の癌性腹膜炎と診断しえた一例を経験したまた本例は画像所見に乏しいだけでなく剖検の肉眼所見でも診断できず組織検査により原発巣が特定された稀な症例であると考えられた.
索引用語