セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P248 著明な十二指腸内進展を認めた膵腺房細胞癌の1例

演者 藤井正彦(国立病院機構高知病院外科)
共同演者 安藤勤(国立病院機構高知病院外科), 佐藤宏彦(国立病院機構高知病院外科), 森本慎也(国立病院機構高知病院外科), 辻井茂宏(国立病院機構高知病院外科), 長堀順二(国立病院機構高知病院外科)
抄録 【緒言】膵腺房細胞癌(acinar cen carcinoma:以下ACC)は浸潤型膵癌の1%以下と比較的まれな腫瘍である.ACCは通常型腺癌と比較して予後良好とされ膨張性発育を示す症例が多い.今回われわれは十二指腸下行脚の隆起性病変として発見されたACCに対し幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した1例を経験したので報告する.【症例】55歳男性.貧血の精査のための上部消化管内視鏡検査で十二指腸腫瘍を認めたため当科に紹介された.十二指腸下行脚に内腔へ突出する辺縁不整な腫瘍を認め生検ではMIB-11NDEXが約30%と強い増殖能を示したが確定診断には至らなかった.腹部CT検査では早期層から造影効果を示す十二指腸壁の腫瘍を認めたが膵頭部には明らかな病変を認めなかった.また腹部血管造影検査では十二指腸壁に一致して胃十二指腸動脈および上七山膜動脈のいずれからも濃染される腫瘍像を認めた.さらに近医受診時から約1ヶ月の間に明らかな増大傾向を認めたため確定診断には至らなかったが十二指腸原発の悪性腫瘍の診断で手術を施行した.【手術】十二指腸下行脚に膵頭部との境界が不明な硬い腫瘍を触知し幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本では十二指腸乳頭近傍に粘膜下から腸管内へ突出する径4cmの暗赤色の腫瘍を認めた.病理診断はacinar cell carcinomame・dullary typeで膵頭部原発の腫瘍が十二指腸に浸潤し膨張性の発育を示したと考えられた.リンパ節転移は認めずstage IHの所見であったが術後2ヶ月のCTで肝転移を認め外来化学療法を継続中である.【結語】特異な発育形態のため術前診断が困難であったACC症例を経験した. ACCは膵頭部に膨張性発育した腫瘍として認められることが多いが自験例のように膵実質内にはほとんど浸潤せず著明な十二指腸内進展をきたすことはまれであり文献的考察を加えて報告する.
索引用語