セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P251 胃酸分泌抑制と加齢の動脈硬化への影響

演者 洲崎文男(横浜南共済病院消化器内科)
共同演者 藤野雅之(横浜船員保険病院内科), 杉山貢(横浜市立大学市民総合医療センター救命救急センター), 塩沢牧子(横浜船員保険病院内科), 松本秀平(横浜船員保険病院内科), 小金井裕之(横浜船員保険病院内科), 内藤実(横浜南共済病院消化器内科)
抄録 【目的】われわれは逆流性食道炎患者でPPI投与に伴いガストリンとともにインスリン分泌とインスリン抵抗性指数がすることを以前本学会で発表した.インスリン抵抗性と加齢はともに動脈硬化を助長することが知られているためその観点から臨床的に検討した.【方法】QUEST問診票が4点以上かつ上部内視鏡検査で逆流性食道炎を確認した20名を対象に70歳以上を高齢者群70歳未満を非高齢者群として検討した.文書による同意の上常用量のPPIを1日1回12ヶ月間投与したPPI投与前8週後12ヵ月後に早朝空腹時採血でガストリンインスリン血糖を測定しHomeostasis modelによるインスリン抵抗性指数を計算した動脈硬化の評価にために上腕一足関節甲唄波速度(baPWV)を測定した.また投与前8週後に血中ホモシステイン濃度を測定した.【成績】高齢者群は平均年齢75.4歳男性7名女性3名非高齢者群は60.7歳男性5名女性5名であった.試験前8週後12ヵ月後の平均値は血中インスリン濃度(pU/ml)が高齢者群9213.0*9.6非高齢者ff 11.514.5*8.2と共に8週後に一過性の上昇が認められた(*:P<005**:P〈0.Ol).インスリン抵抗性指数は高齢者群2.593.73*2.39非高齢者群327436*2.Caとやはり一過性の増加が観察されたbaPWV(cm/sec)は高齢者群17571895**1897**非高齢者群154815861712と高齢者群では投与8週後から有意に上昇したが非高齢者群では12ヵ月後まで上昇せず有意差もなかった平均血中ホモシステイン濃度(nmol/ml>は投与前8週後で高齢者群17.919.7*非高齢者群12.412.7と高齢者群でのみ増加した【結論】機序は不明だがPPI投与に伴い動脈硬化が進展することが示唆された特に元々動脈硬化のある高齢者ではPPIへの感受性が高いと考えられた.動脈硬化性疾患は高齢者のQOLに大きく影響するため胃酸分泌抑制にあたって考慮すべき問題と考える.
索引用語