セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P256 高齢者の上部消化管出血の現状と止血の工夫

演者 片岡幹統(東京医科大学消化器内科)
共同演者 河合隆(東京医科大学内視鏡センター), 森安史典(東京医科大学消化器内科)
抄録 【目的】当院での高齢者上部消化管出血の現状を明らかにするとともに新しいバイポーラ止血鉗子の有用性を検討した.【方法】上部消化管出血にて緊急内視鏡検査を施行した110例中60歳以上71症例をA群59歳以下39症例をB群とし以下の項目を検討した.L疾患の内訳 2抗凝固抗血小板薬内服歴 3止血法と止血成績(静脈瘤を除く)である.新しいバイポーラ止血鉗子手技は鉗子を開いたまま押し当て凝固止血する簡単な止血方法である.また豚の胃を用いバイポーラ鉗子およびとモノポーラ鉗子を用い通電時間による経時的な変化を病理組織学的に比較した【結果】A群B群においてそれぞれ平均年齢72.6歳:47.7歳男女比53:18=31:8.疾患の内訳は胃潰瘍37例=16例 十二指腸潰瘍9例:8例食道静脈瘤9例:6例マロリーワイス症候群5例:3例ESD後出血2例:2例胃描2例:0例その他3例:4例.抗凝固抗血小板薬内服歴は26例(36.6%):3例(7.7%)止血症例は39例:18例.止血法はバイポーラ単独26例:10例クリップ単独6例:6例クリップ+バイポーラ併用2例:2例局注法5例:0例.クリップを使用した症例にはクリップ辺縁から滲出出血する症例もありバイポーラ止血鉗子による追加凝固が有用であった.止血不可能症例はA群で1例認め再出血症例はB群のクリップで止血した十二指腸潰瘍1例であった.豚の胃の検討ではバイポーラ鉗子では3秒の熱変性は粘膜内に留まり15秒以上通電を継続するも深部組織障害はなくモノポーラ鉗子は通電時間に依存して組織障害が強くなった【結語】上部消化管出血の半数以上が60歳以上でありうち36.6%が抗凝固抗血小板薬を服用していた.今後抗凝固抗血小板薬服用高齢者消化管出血の増加が予想されるなか低侵襲安全かつ簡単な新しいバイポーラ鉗子による止血法は新しい内視鏡止血手技であると考えられた.
索引用語