セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P266 polaprezinc投与によるHelicobacter pylori陽性若年者のMetallothioneinへの影響と胃癌の危険性の検討

演者 三谷年史(虎の門病院消化器科)
共同演者 白坂大輔(神戸大学消化器内科), 宮地英行(神戸大学消化器内科), 田中敏雄(神戸大学消化器内科), 矢作直久(虎の門病院消化器科)
抄録 目的:Polaprezincは亜鉛を含有するという特徴を持つ胃潰瘍治療薬でこれまでにHelicobacter pylori(H. pylori)胃炎を軽減すると報告があります.Metallothionein(MT>は構成アミノ酸の30%がシステインからなる金属結合蛋白で活性酸素種を吸収し組織損傷を減らすことが証明されています.我々はこれまでに胃粘膜におけるMTの発現が高いほどH. py-lori胃炎を軽減し胃癌の危険性を減らすと報告してきました.今回我々は若年者のH.pylori胃炎に関してpolaprezinc投与前後の影響を検討し胃粘膜におけるMTの発現との関係を評価します方法:対象はH. py-Iori陽性15例(HP+群27.2±5.6歳)と陰性14例(HP一群26.9±4.6歳)それぞれ前庭部より得た生検サンプルからMTIIaをReal Time PCR(△Ct法)で測定しMTの発現を評価しました.胃炎の程度はUpdate SydneySystemによって評価しました. polaprezinc 150mg(Zn 33.9mg含有)を4週投与後同様の評価を繰り返しました.血清Znはpolaprezinc投与前後にすべての患者で調べました.HP+群15例は評価終了後直ちに除菌治療(LAC800 7days)を施行しました結果:両群とも服薬コンプライアンスは良好で特に副作用は認めなかった.血清Znはグループ間で有為差は無く共にpolaprezinc投与後に有為に上昇したがおおむね正常範囲内であった.MTの発現はHP一群でHP+群より高くPolaprezinc投与4週後にHP+群のMT発現は有為に回復したがHP一群は変化なかった.胃炎は好中球浸潤において改善を認めた.HP+群14/15例(93.3%)で除菌を成功した.結論:polaprezinc投与によりH pylori wa性胃粘膜のMT発現は回復し胃炎は改善を示した.PolaprezincはH. pylori陽性若年者のMT発現の改善を通して胃発癌の危険性を減らす可能性を示した.
索引用語