セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P280 PTX(パクリタキセル)の投与にてPRを得られ併発した急性腎不全の著明な改善をも認めたスキルス胃癌の一例

演者 芋瀬基明(岐阜県総合医療センター消化器科)
共同演者 渡部直樹(岐阜県総合医療センター消化器科), 上村真也(岐阜県総合医療センター消化器科), 足達広和(岐阜県総合医療センター消化器科), 戸田勝久(岐阜県総合医療センター消化器科), 大西隆哉(岐阜県総合医療センター消化器科), 清水省吾(岐阜県総合医療センター消化器科), 植松孝広(岐阜県総合医療センター消化器科), 小林成禎(岐阜県総合医療センター消化器科), 杉原潤一(岐阜県総合医療センター消化器科)
抄録 【症例】38歳男性【主訴】腹痛【現病歴】平成19年4月27日頃から腹痛を自覚したため5月1日に当科初診.腹部CTにて腹水の貯留と腫瘍マーカーの上昇が認められたため精査目的にて5月2日に当科入院となった【入院時現症】腹部は膨隆やや硬圧痛あり【入院時検査所見】BUN34mg/dlCr2.03mg/dlCEA213ng/mlCA19-9 397IU/ml【入院後経過】5月7日にGIFを施行したところ胃体部~前庭部大剛に3型進行癌を指摘された.病理診断は「未分化腺癌印環細胞の浸潤性増殖を認める」とのことであった.手術適応なく全身化学療法を予定していたが入院時より尿量少なく初診時CTにて水腎症を指摘されていたため5月7日に泌尿器科で尿管ステントを留置された.その後一旦尿量増加したが5月9日より乏尿となり5月11日にはBUN118mg/dlCr11.89mg/dと急性腎不全の所見を認めた.同日より血液透析開始となり1ヶ月施行したが腎機能は回復しなかった.化学療法ができないままでは予後不良となるため肝代謝胆汁排泄型のPTX単独レジメンにて6月6日から化学療法を開始した.その後も毎週投与を継続した.6月14日には腎機能が正常化し血液透析から離脱できた.9月3日にはCEA7.Ong/mlCA19一・9 M7U/mlと腫瘍マーカーも著明に低下.全身状態良好となったため9月13日に退院となった.【考察】入院後にみられた急性腎不全はおそらく胃癌の腹膜播種により尿管が巻き込まれて閉塞した腎後性腎不全であったと考えられる.重篤な腎不全を併発したため化学療法がためらわれたがPTXレジメンにて化学療法を開始したことで腹膜播種に対して効果がみられ尿管狭窄が解除され急速に腎不全も改善したと推測された.【結語】PTXの単独投与にてPRを得られ併発した急性腎不全の著明な改善をも認めたスキルス胃癌の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語