セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P281 DICを併発した胃癌播種性骨髄癌症に対し化学療法が奏功し長期生存を得た一例

演者 奥野貴史(彦根市立病院内科)
共同演者 森田幸子(彦根市立病院内科), 石倉大輔(彦根市立病院内科), 馬場重樹(彦根市立病院内科), 來住優輝(彦根市立病院内科), 吉川浩平(彦根市立病院内科), 横野智信(彦根市立病院内科), 藤山佳秀(滋賀医科大学消化器内科)
抄録 【症例】70歳男性60歳時に早期胃癌にて幽門側胃亜全摘術の既往歴がある.2005年秋頃より腰痛食欲不振体重減少が出現し徐々に増強していた.2006年4月帯状庖疹を主訴に当院皮膚科を受診した. DICと高ALP血症を認め当科紹介され精査目的にて入院となった.残胃に不整な襲集中像を伴う陥凹性病変を認め生検にて低分化型腺癌を認めた.また全身の多発性骨転移および骨髄への浸潤性転移を認めDIC併発胃癌播種性骨髄癌症と診断した. DICに対してはnafamostat mesilateをまた胃癌に対する化学療法はTS-1/CDDP療法を選択した.しかしDICは改善せずALP値も高値が持続したことからTS-1/CDDP療法は無効と判断しTS-1/PTX療法に変更した.変更後DICは一旦改善しALP値も低下したがコース終了時にはDICのみが再燃したためnafamostat mesilateの点滴から離脱できず退院も困難となった.そこで内服でのDICコントロールを目指しwarfarin+cilostazolに変更しさらにTS-1/PTX療法を継続した.コース終了時にDICの再燃は認めなかったため退院とし外来にてTS-1/PTX療法およびwarfarin+cilostazol療法を継続した.以後はDICスコアT ALP値を指標に効果判定をし無効と判断した時点でTS-1/CPT-11さらにはTS-1/docetaxelに変更し外来化学療法を継続したしかし治療開始から14ヶ月が経過した2007年6月癌性胸腹膜炎を併発し原病死した.【まとめ1胃癌播種性骨髄癌症は非常に予後が悪くDICの進行により急激な転帰を取ることが多くDICの治療に平行して効果の高い化学療法を早期に施行する必要があるまたその休薬期間中のDICの再燃にも配慮した薬剤の選択投与量投与計画の設定が必要となる.DICを併発した胃癌播種性骨髄癌症の長期生存は極めて少なく若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語