セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P303 マウス大腸癌モデルにおける緑茶カテキンの腫瘍抑制効果

演者 白上洋平(岐阜大学消化器病態学)
共同演者 清水雅仁(岐阜大学消化器病態学), 田中卓二(金沢医科大学腫瘍病理学), 森脇久隆(岐阜大学消化器病態学)
抄録 【目的】これまで我々は緑茶カテキンEGCG((一)一epigallocatechin gal-late)およびその混合抽出物であるPolyE(Polyphenon E)によるヒト大腸癌細胞株の腫瘍抑制効果について検討してきた.今回AOM(azoxymethane)とDSS(dextran sodium sulfate)によるマウス大腸炎症性発癌モデルにおけるEGCGとPolyEの腫瘍抑制効果について検討した(実験1).またヌードマウス皮下移植腫瘍に対するEGCGの効果を検討した(実験2).【方法】実験1:ICRマウスにAOMを腹腔内投与した後DSSを1週間飲水投与した.EGCG投与群PolyE投与群無処置群に分け実験開始から17週後に得られた大腸の病理学的生化学的解析を行った.実験2:ヌードマウス背部皮下にヒト大腸癌細胞株SW837を移植EGCG投与群および無処置群に分け実験開始から7週後に得られた皮下腫瘍の病理学的生化学的解析を行った.いずれの実験においてもEGCGおよびPolyEは飲水投与した【結果】実験1:EGCG投与群PolyE投与群とも無処置群と比較して大腸腫瘍の発生頻度に差はなかったが悪性度と腫瘍体積は有意に抑制された.大腸粘膜における炎症スコアも緑茶カテキン投与群で有意に低値であった.また緑茶カテキン投与により大腸粘膜におけるCOX-2およびTNF一αをはじめとする炎症性サイトカインの発現は有意に低下していた実験2:無処置群と比較してEGCG投与群において皮下腫瘍の増殖抑制が認められまたVEGF-Rの発現抑制やアポトーシス誘導がみられた【結論】マウス大腸炎症性発癌モデルおよびヌードマウス皮下大腸腫瘍移植モデルにおいて緑茶カテキンによる腫瘍抑制効果が認められた.炎症性腸疾患における大腸発癌および大腸腫瘍増殖に対し緑茶カテキンが有効である可能性が示唆された
索引用語