セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P309 当院における胃腎シャント閉塞術の現況

演者 横尾健(新潟市民病院消化器科)
共同演者 和栗暢生(新潟市民病院消化器科), 河久順志(新潟市民病院消化器科), 濱勇(新潟市民病院消化器科), 相場恒男(新潟市民病院消化器科), 米山靖(新潟市民病院消化器科), 古川浩一(新潟市民病院消化器科), 杉村一仁(新潟市民病院消化器科), 五十嵐健太郎(新潟市民病院消化器科), 月岡恵(新潟市民病院消化器科)
抄録 胃静脈瘤の治療としてバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)はその地位を確立しており近年より安全確実な治療のため様々なバリエーションが選択されている.当院ではB-RTO単独を基本方針とし排血路バルーン閉塞は血栓化促進と追加治療の観点からovemightを原則としている.胃静脈瘤破裂による緊急例では再出血のリスクを考慮し一時止血後2日以内に塞栓術を施行している.待機例は無症状であるためにRC陽性や著明な増大傾向を示す場合に限り治療を考慮し肝予備能ならびに併存疾患を評価し予後を検討した後に適応を決定している.当院で2005年以降11例に胃腎シャント閉塞術を施行した.その内訳は胃静脈瘤9例(緊急2例)シャント脳症2例であり全例でシャント閉塞に成功した.背景疾患はC型肝硬変5例アルコール性肝硬変4例NBNC肝硬変1例不明1例Child-Pugh分類ではgrade A 4例grade B 6例であった.今回バルーン閉塞下胃腎シャント造影で血流停滞が不十分であった症例には血行動態・シャント形状に応じて経皮経肝的門脈側副血行路塞栓術(PTO)または逆行性供血路コイリングを付加的に行った.また門脈圧直進が著しい症例ではシャント閉塞後の高度門脈圧充進の回避を期待して部分脾動脈塞栓術(PSE)を付加した. C型肝硬変症例で今後インターフェロン投与予定であった症例においても血小板増加を期待してPSEを行った。全例でシャント閉塞に成功し重篤な合併症は輸血を要した溶血性貧血が1例のみであった.胃腎シャント塞栓術は侵襲的であり初回での確実な塞栓が望まれる.そのために状況に応じ有効な付加治療を選択することが重要となる.ときに併存する病態に対する治療も必要となる.今回の11例に関しての付加治療の妥当性については今後の検討課題であるが当院での工夫について報告する.
索引用語