| セッション情報 | 一般演題(ポスター) |
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| タイトル | P314 難治性腹水にて発症したIV型Budd-Chiari症候群の一例 |
| 演者 | 大関令奈(札幌医科大学第一内科講座) |
| 共同演者 | 伊藤美樹(札幌医科大学第一内科講座), 阿久津典之(札幌医科大学第一内科講座), 大橋広和(札幌医科大学第一内科講座), 高木秀安(札幌医科大学第一内科講座), 佐々木茂(札幌医科大学第一内科講座), 山本博幸(札幌医科大学第一内科講座), 篠村恭久(札幌医科大学第一内科講座), 横田勝至(札幌里塚病院) |
| 抄録 | 症例は47歳男性.平成19年4月頃より腹部膨満感を自覚していたが放置していた.7月に体重が10kg増加したため近医を受診したところ腹部CT上著明な腹水を認め精査加療目的に入院となった.諸検査にて原因不明であったため当科紹介入院となった血液生化学的所見では肝機能異常と肝線維化マーカーの軽度高値を認めた.また各種ウイルスマーカーは陰性であった.各種画像検査を行ったが明らかな悪性所見を認めず肝硬変も否定的であった.腹水所見は細胞診classIで各種感染症も否定的であった.腹水中のビアルロン酸が高値であり短期間のアスベスト吸引歴や胸部CT上胸水及び胸膜肥厚所見を認めたことから当初悪性中皮腫を疑い胸腔鏡下胸膜生検を施行したが悪性所見を認めなかった.腹膜原発悪性中皮腫や癌性腹水の可能性も疑い腹腔鏡検査を行ったところ腹膜には毛細血管の拡張以外に異常を認めないが肝表面は暗紫色~赤褐色で微細な凹凸を呈しておりうっ血肝に矛盾しない所見であった.術中門脈圧を測定したところ320㎜H20と上昇していたため門脈航進症の原因検索を進めた.上部内視鏡髄にて軽度の食道静脈瘤と門脈圧尤進性胃炎を認め間接的門脈造影では門脈に閉塞や狭小化の所見は認めないが遠肝性に脾静脈・左胃静脈が造影された.下大静脈造影では本幹には狭窄・閉塞を認めないが肝静脈の選択的造影は困難であった.血行動態を確認するため造影エコー検査を施行したところ左肝静脈中肝静脈の血流速度が低下し、右肝静脈は描出が困難であった.また右下肝静脈の拡張を認めた.以上の所見からIV型のBudd-Chiari症候群と診断した. Budd-Chiari症候群においては杉浦の分類が用いられており下大静脈に狭窄や閉塞を呈する1型が50%と多いが自験例で認めた肝静脈のみ閉塞するIV型は1%と極めて稀である.自験例におけるその特異な画像所見を中心に文献的考察を含め報告する. |
| 索引用語 |