セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P315 繰り返し薬物性肝障害を発症したGilbert症候群の一例

演者 綾田穣(増子記念病院内科肝・消化器)
共同演者 石川哲也(名古屋共立クリニック免疫細胞療法センター), 奥村明彦(海南病院消化器科), 大橋知彦(愛知医科大学消化器内科), 佐藤顕(愛知医科大学消化器内科), 堀田直樹(増子記念病院内科肝・消化器), 各務伸一(愛知医科大学), 米田政志(愛知医科大学消化器内科)
抄録 【背景・目的】今回我々は繰り返し薬物性肝障害を発症したGilbert症候群の一例を経験したため報告する.【症例】症例は56歳の女性.心窩部痛出現し市販薬を内服したが軽快せず当院を受診した眼球黄染と心窩調圧を認めたT-bil:4.07mg/dlALT:1411U/1ALP:585m/1と肝胆道系酵素の上昇を認めた.画像診断では軽度の脂肪肝の所見のみで肝炎の各種ウイルス自己免疫疾患のマーカーは陰性であった.市販薬による薬物性肝障害を疑い内服を中止したところ肝障害は軽快したその後高脂血症に対しフルバスタチンナトリウムを投与したところ再び肝障害が出現した.内服中止により肝障害は順調に軽快したがその後高ビリルビン血症の増悪寛解を繰り返した.間接ビリルビン(以下:間ビ)値は1~6mg/dl前後で推移し体質性黄痘の存在が疑われた.カロリー制限での間ビ値の上昇を認めICG試験は正常、肝生検では脂肪滴の散在をみるも炎症細胞浸潤や線維化はほとんど認めなかった。Gilbert症候群を疑い患者の同意を得てbhirubin UDP-glucuronosyltranSferase geneの解析を行った.プロモータ部位に変異が認められたためGilbert症候群と診断した.【考察・結語】Gilbert症候群はt高聞ビ血症の原因で日常遭遇する機会が最も多い無害な良性疾患であり治療や長期の経遇観察は不要である.よって黄疸患者を診た場合すぐに鑑別除外したい症候群である.しかし本症例のように初診時に肝障害を併発した場合には鑑別に時間を要する場合もあり注意が必要と思われる.高間ビ血症を伴う肝障害症例に遭遇した場合には基礎疾患に体質性黄疸が存在することも念頭におき肝生検や遺伝子解析も含めた詳細な検討を考慮する必要があると考えられた.
索引用語