セッション情報 |
一般演題(ポスター)
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タイトル |
P319 転移経路の推定困難な腹膜播種をきたした小肝細胞癌の1例
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演者 |
伊坪真理子(東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科) |
共同演者 |
小池和彦(東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科), 玉城成雄(東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科), 石黒晴哉(東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科), 田尻久雄(東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科) |
抄録 |
臨床経過中に腹膜播種が診断される肝細胞癌(HCC)症例は比較的まれである.今回肝切除21年後に径15mmの肝内小病変を認め2回のTACEでコントロールされているにもかかわらず腹膜播種をきたした症例を経験した.【症例】62歳男性.39歳時にHBs抗原陽性肝硬変を背景とした肝細胞癌に対して肝癌葉切除を施行.その後HBs抗体陽転化しASTALT正常域腫蕩マーカー陰性で経過.2004年2月にAFP13ng/mlとなったがUSCTでは腫瘍を認めず2005年2月のMRIで肝S2に径15mmの腫瘤性病変を認めた3月に血管造影でHCCと診断TACEを行いAFPは一旦低下したが徐々に再上昇傾向あり.US胸腹部CTやGaシンチグラフィーでは異常所見はなかったがMRI拡散強調画像では局所再発を否定しえず2006年11月に血管造影を施行前回治療部に一部濃染像ありTACEを行った.しかしAFPは上昇し続けUSMRIなどでは病変を検出せず自覚症状もなかったが2007年3月再度のGaシンチグラフィ…一で右下腹部領域に強い異常集積像を認めた.この頃より腹部異和感を自覚また診察時に右幅径部直上に圧痛のない2~3cm大の腫瘤を触知するようになり以降自他覚所見が急速に進行.骨シンチグラフィーでは所見なく骨盤部CTで腹水と大小多数の結節性病変が認められ癌性腹膜炎の所見であった.入院精査の結果肝内には再発所見なく腹腔内実質臓器肺リンパ節上部・下部消化管にも病変をみなかった.腹水の細胞診はクラスエ~Hであったが血性でありAFPおよそ16万ng/mlと高値でHCC腹膜播種と診断した.入退院を繰り返し現在は外来経過観察中である.本症例はHCC初発病巣切除時からは長期間経過しており今回の新たな肝内小病変もTACEでよくコントロールされており腫瘍の穿刺歴破裂歴などもなく腹膜への転移経路の推定困難なまれな症例と思われた. |
索引用語 |
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