セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P335 腎細胞癌術後膵多発転移に対する外科治療

演者 鈴木哲也(独立行政法人国立病院機構甲府病院)
共同演者 角田元(独立行政法人国立病院機構甲府病院), 板倉淳(山梨大学医学部第一外科), 藤井秀樹(山梨大学医学部第一外科)
抄録 症例は61歳女性.平成4年1月に右腎細胞癌(RCC)に対し前唄泌尿器科でRadical nephrectomyを実施病理組織診断はRCC clear cell sub-typegradel-2ly(一)INFapT1.補助療法としてインターフェロンαを209回実施した.今回腰部から心窩部にかけての痛みを主訴に近医を受診腹部超音波検査で多発膵腫瘍の診断にて当院を紹介された.CT所見では膵頭部及び尾部に直径約5c事大の腫瘤が認められその他にも頭部鈎部に同様の小結節が認められたリンパ節及び膵以外の他臓器転移は認めなかった.初回手術より15年が経過しており造影CTで比較的濃染することより膵島細胞腫瘍も鑑別に上がった.しかしながら多発していることからRCCの多発膵転移がもっとも可能性が高いと判断Slow growingな腫瘍であり外科的手術のメリットありとし切除の方針とした.手術は幽門輪温存膵頭十二指腸切除術及び膵尾部切除の方針とした.術中超音波診断を実施し膵内に他病変が無いことを確認しかし尾部腫瘍から脾静脈内に腫瘍塞栓を形成していることが確認され脾臓摘出も実施した.摘出標本で腫瘍はいずれも割面は黄色調であり内部に出血を伴った小嚢胞構造が認められた.組織学的にはclear cell car-cinomaであり脾静脈以外に脾動脈周囲リンパ管内に腫瘍塞栓が形成されていた.術後尾側溶断端からの膵液漏が認められた。膵管内圧を軽減するために膵管チューブを抜去することで早期に改善した.耐糖能の軽度悪化は認められたものの現在術後半年経過した時点で再発の徴候は認められていない.腎細胞癌術後長期経過の中での膵転移の報告は散見されており膵組織と親和性が推察される.このようなケースでは腫瘍の増殖速度も遅いものと考えられソラフェニブ等の新規治療法が確立されても尚外科的治療を最優先されるべき病態であると考えられる.
索引用語