セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P349 下血で発症した抗リン脂質抗体症候群に伴う後天性第VIII凝固因子欠乏症に小腸潰瘍を合併した一例

演者 佐藤俊(会津中央病院消化器病センター)
共同演者 岩尾年康(会津中央病院消化器病センター), 宮田英樹(会津中央病院消化器病センター), 長田祐樹(会津中央病院消化器病センター), 野村佳克(会津中央病院消化器病センター), 松川正明(昭和大学付属豊洲病院内科), 山本栄篤(昭和大学付属豊洲病院内科), 宮本彰俊(昭和大学付属豊洲病院内科), 吉田智彦(昭和大学付属豊洲病院内科)
抄録 【症例】71歳女性.2007年4月かかりつけ医を受診した際に急激な貧血の進行を指摘されたs5月に下血が出現し他医に入院.出血源を同定できず精査目的で当科へ紹介となった.慨往歴】高脂血症糖尿病62歳時大腸穿孔.流産歴;妊娠3日中1回(第2子出産後1回)【家族歴】特記事項なし【翠眉及び経過】意識清明体温36.7℃血圧136/70脈拍80/分呼吸音正常心雑音なし.腹部平坦正中に手術痕肝脾腫なし.血液生化学的には貧血(Hb 6.3g/dlMCV76.0MCH221Fe 39μg/dl)と凝固能異常(PT l3.4秒APTT 89秒第VIH凝固因子活性値1%以下)がみられた.免疫学的にはループスアンチコアグラントRAHAが陽性を示した他フォンウィルブランド因子抗核抗体抗DNA抗体は陰性だった.入院後も唐歌的な下血があり適時輸血を行った.下部消化管内視鏡検査では終末回腸挿入時に根側小腸から凝血の流出がみられた.経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡ではt回腸に抜打ち様の小潰瘍が散在し同部位からの出血と考えられた.一方でループスアンチコアグラント陽性第VIII凝固因子活性低値出血症状の出現が最近であることから抗リン脂質抗体症候群に伴う後天性第V皿凝固因子欠乏症が疑われた.原疾患は不明だがRAHA強陽性につき自己免疫疾患が不顕的に潜在するものと考えPSL 20mgを内服開始した多発小腸潰瘍に対しては5-ASA 15001ngを開始した.治療開始後速やかに出血症状は消失し再出血を認めないため外来加療とした.以後PSLを5mgまで暫減し10月3日現在APTT51秒t第V皿凝固因子活性23.3%まで改善し再出血は認めていない.抗リン脂質抗体症候群の多くは血栓症が主体だが本症例は凝固因子欠乏による出血症状に加え小腸潰瘍を合併した.以上貴重であると思われる一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語