セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P352 Helicobacter pylori除菌療法により胃酸分泌能が回復し消化管Bacterial Overgrowth症候群が改善した1例

演者 本田徹郎(自治医科大学消化器内科)
共同演者 矢野智則(自治医科大学消化器内科), 太田英孝(自治医科大学消化器内科), 周東利奈(自治医科大学消化器内科), 荒井洋実(自治医科大学消化器内科), 中澤克行(自治医科大学消化器内科), 林芳和(自治医科大学消化器内科), 砂田圭二郎(自治医科大学消化器内科), 林俊治(自治医科大学細菌学), 山本博徳(自治医科大学消化器内科), 菅野健太郎(自治医科大学消化器内科)
抄録 【はじめに】H.pylori除菌療法により胃酸分泌能が改善し胃の殺菌作用が回復したことで小腸bacteria1 overgrowth症候群が改善した特発性偽性腸閉塞症の1例を経験したので報告する.【症例】患者は65歳男性.44歳時に当院にて特発性偽性腸閉塞症と診断されその12年後に繰り返すイレウスのため広範囲小腸切除術が施行された術後12年が経過した頃より頻回の下痢体重減少浮腫が出現したため来院血液検査にて低Alb血症を認めた.DBEでの消化管細菌叢の精査を施行したところ胃空腸回腸内の細菌数が著しく増加しており小腸のbacterial overgrowthによる吸収不良症候群と診断された.同時にH.pylori ee感染の合併に伴う胃内pHの上昇を認めた(pl{7.4)。胃内の著しい細菌増殖に引き続いて発症した小腸bacteriaIovergrowth症候群の可能性があり胃酸分泌能の改善が必要と考えられHpylori除菌療法を施行した.一次除菌は不成功でありt腸内細菌叢の再検査を行うも改善は認められなかった.二次除菌にて除菌が成功した後は胃内のpHは低下し(pHl.7)無菌状態となり小腸の細菌数も減少した除菌前後の血清Alb値はLgg/dlから3.2g/dlへ改善を認めた.浮腫は改善し体重は徐々に増加傾向にあり下痢の回数も減少し現在に至っている.【結論及び考察】 H.pylori除菌療法により胃酸分泌能の改善が得られ胃内の細菌数減少に伴い小腸bacterial overgrowth症候群が改善した1例を経験した.今回の症例は特発性偽性腸閉塞症という特殊な基礎疾患が背景にあるもののH.pylori ms染症による胃内pHの上昇が腸内細菌叢へ影響を与えている可能性を示すものである. Hpylori除菌療法による胃酸分泌能の改善はbacterialovergrowthの抑制(腸内細菌叢の正常化)をもたらすことが期待される.
索引用語