セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P356 腹腔動脈解離3例の検討

演者 今本栄子(社会保険京都病院内科)
共同演者 安藤貴志(社会保険京都病院内科), 上園貴美子(社会保険京都病院内科), 西村幸晴(社会保険京都病院内科), 中村智恵(社会保険京都病院内科), 松本尚之(社会保険京都病院内科), 内藤裕二(京都府立医科大学生体機能分析医学), 吉田憲正(京都府立医科大学消化器内科学), 吉川敏一(京都府立医科大学免疫内科学)
抄録 腹腔動脈などの腹部動脈解離はしばしば大動脈解離に伴って認められることがあるが大動脈解離を伴わない腹部動脈解離は稀であるしかし画像診断の進歩によりその報告が散見されるようになっている.われわれは腹腔動脈解離を3例経験したので報告する症例1.39歳男性平成18年2月28日より突然の左側腹部痛を自覚し3月4日当院救急外来を受診し腹部CTにて腹腔動脈起始部から群肝動脈胃十二指腸動脈脾動脈まで解離を認めた.保存的治療で症状は消失し現在抗血小板療法中で総肝動脈から固有肝動脈にかけて血栓化し閉塞しているが側副血行路により虚血症状もなく経過は良好である.症例2.72歳男性平成18年8月17日昼に突然の右側腹部~心窩部痛を自覚し翌日午前1時に当院救急外来を受診し腹部CTにて腹腔動脈から総隈動脈にかけて解離とULPを認めた.保存的治療で症状は消失しULPは径11mmの瘤を形成したが現在縮小傾向にある.症例3.74歳男性.朝より左下腹部痛を自覚し同日当院を受診し腹部CTで腹腔動脈から総目動脈にかけてと脾動脈近位部で解離を認めた.保存的治療により解離の進展なく症状は消失した現在腹腔動脈起始部に径10mmの瘤を形成している本症例は頻度が低い上に鑑別診断の一つとして考慮されにくく稀な疾患とされているが本来は急性腹症の一疾患である.近年は急性腹症の対してもCTを施行することが多くなりまたCT診断の技術も向上し発症早期の発見が可能になっている腹部動脈解離は高血圧喫煙が危険因子であるといわれているが当院での三例も高血圧で二例は喫煙者であった解離が広範囲に及ぶ症例もあったが三例とも保存的加療にて軽快している.まだ確立された治療法がなく当院でも三例とも降圧療法は行っているが抗血小板療法は一例のみである.今後症例の蓄積により治療法の確立が望まれる.
索引用語