セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P366 潰瘍性大腸炎に合併した真菌性脊椎炎の1例

演者 田島陽介(新潟大学第一外科)
共同演者
抄録 症例は58歳の男性.2007年3月より粘血便が出現し他院にて下部消化管内視鏡注腸造影を行ったところ潰瘍性大腸炎と診断されサラゾスルファピリジンとプレドニゾロンの内服絶食・完全静脈栄養などの治療を開始された.しかし発症1ヶ月後より40℃台発熱が続き血液培養の結果Candida albicansが検出されたため抗真菌薬の投与を開始された.さらに発症2ヵ月後より薬剤性と思われる皮疹肝障害が出現しサラゾスルファピリジンメサラジン抗真菌薬の投与を中止した.またこのころより腰部痛を自覚していた.薬剤の副作用により内科的治療が難しく手術適応と判断され全大腸切除・回腸肛門吻合を行う方針となり発症3ヵ月後の2007年6月に3期分割手術の第1期として大腸亜全摘・上行結腸人工肛門・S状結腸粘液痩造設術を行った.術後経過は良好であったが術後9日目より38度台の発熱を認めまた腰部痛が増悪した.CTMRIの結果L2/3の脊椎炎硬膜外膿瘍の所見を認めたため術後17日目に脊椎生検を施行培養の結果Candida albicansが検出された.真菌性脊椎炎と診断され抗真菌薬の静注硬膜外持続投与を開始し現在も治療継続中である.潰瘍性大腸炎に合併した真菌性脊椎炎は極めてまれであるが症状は非特異的であり早期診断は困難である.本症例の場合副腎皮質ステロイドを中心とした治療や長期治療による全身状態の悪化が真菌性脊椎炎の発症の要因になったと考えられる.脊椎炎の治療が遅れると外科的切除が必要となるため潰瘍性大腸炎治療中の患者で腰背部痛を認めた場合真菌性脊椎炎の可能性も念頭においた迅速な精査が必要である.
索引用語