セッション情報 | 一般演題(ポスター) |
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タイトル | P368 潰瘍性大腸炎に随伴した十二指腸炎の1例 |
演者 | 森山友章(湘南鎌倉総合病院消化器内科) |
共同演者 | 望月雅恵(湘南鎌倉総合病院消化器内科), 菅波由有(湘南鎌倉総合病院消化器内科), 中村正樹(健愛クリニック), 藤村宜憲(川崎医大附属川崎病院肝臓・消化器病センター) |
抄録 | 症例は78歳女性.主訴は嘔気・嘔吐.1993年から左側大腸炎型の潰瘍性大腸炎(UC)と診断されサラゾピリン(SASP)とプレドニゾロン(PSL)などが投与された2003年出血下痢便に対して回虫球除去療法が行われtSASPにより緩解を維持していた2005年8月から血便や腹痛はなかったが嘔気・嘔吐が生じ食思不振と体重減少が続くため当科へ入院した.大腸内視鏡ではS状結腸から下行結腸にかけて単発性の浅い潰瘍や多発雨痕・びらんが局所的に見られた.上部消化管内視鏡では十二指腸球部から下行部にかけて絨毛構造は消失し、びまん性の発赤・白色膿栓・霜降り状の多発性微小びらんが見られた.生検組織では粘膜内にびまん性の形質細胞浸潤・好中球浸潤と陰窩炎絨毛構造の消失とびらんが認められた十二指腸造影では球部から水平部にかけて微細穎粒状変化を示し下行部と水平部の嫉襲が減少していた.以上の所見からUC関連十二指腸炎と診断した.内服薬をH2受容体拮抗薬からプロトンポンプ阻害剤に変更してドンペリドンを投与したが嘔気の頻度がわずかに減少したに過ぎなかった.そこでPSL30mg/日の投与を開始したところ症状は消失した内視鏡では十二指腸戸部から下行部に発赤・びらんは著明に改善し絨毛構造も回復していた生検組織では軽度のリンパ球浸潤のみで炎症細胞浸潤は著減していた.その後PSLを漸減し5mg/日を維持量とした. UCは上部消化管に炎症が及ぶことがあり十二指腸炎は全大腸炎型や大腸全摘後の症例に多いとされている内視鏡像では十二指腸球部から下行部ないし水平都に及ぶ連続病変で発赤・びらん・粘膜粗ぞう・穎粒状変化・嫉髪腫大または消失・狭窄・偽ポリープなどが認められている.治療ではPSLやSASP・メサラジンの投与白血球除去療法などが試みられPSLが有効との報告が多い.自験例は(1)PSLにより症状と内視鏡像が改善し(2)大腸病変と十二指腸病変の活動性が解離していた点に特徴があった. |
索引用語 |