セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P375 直腸に広範な潰瘍を形成した潰瘍性大腸炎4例の検討

演者 中川正(奈良県立医科大学消化器・総合外科)
共同演者 藤井久男(奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部), 小山文一(奈良県立医科大学消化器・総合外科), 向川智英(奈良県立医科大学消化器・総合外科), 内本和晃(奈良県立医科大学消化器・総合外科), 大槻憲一(奈良県立医科大学消化器・総合外科), 中村信治(奈良県立医科大学消化器・総合外科), 中島祥介(奈良県立医科大学消化器・総合外科)
抄録 【はじめに】一般に潰瘍性大腸炎(以下UC)は近位大腸に向かい炎症が進展するが直腸に広範な潰瘍を形成する症例はまれである.さらに深部の炎症に比し直腸の炎症が軽微であるというrectal sparingは重症UCにしばしばみられ特徴の1つとされているわれわれは直腸に広範な潰瘍を形成する症例を4例経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.【症例の概要】男性2例女性2例.全大腸炎型3例左側大腸炎型1例.UC発症年齢は18歳から49歳(平均37歳).UC発症から直腸の広範な潰瘍を診断されるまでの期間は13ヶ月から65ヶ月(平均35ヶ月)であった.2例は大腸亜全摘術(粘液痩造設術)の後に発生したものであった.1例についてはサイトメガロウイルス(CMV)感染を疑ってガンシクロビルを投与したが無効であった.いずれの症例でもCMV感染の確診は得られなかった.最終的に全例が手術治療の対象となった.3例に大腸全摘術・回腸嚢肛門吻合術1例にループ式横行結腸人工肛門造設術を施行した.【結語】直腸に広範な潰瘍を形成するUCはいずれも難治であり局所療法の適応手術になった場合の術式の選択などが問題となる.原因解明についてはさらなる症例の集積が必要であるがCMV感染の関与は否定できずCMVアンチゲネミアや生検の結果にかかわらず抗ウィルス剤の投与も考慮すべきである.
索引用語