セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P405 成人でO-157感染により溶血性尿毒症症候群を発症し脳症を合併した1例

演者 吉光雅志(石川県立中央病院消化器内科)
共同演者 林宣明(石川県立中央病院消化器内科), 金子佳史(石川県立中央病院消化器内科), 土山寿志(石川県立中央病院消化器内科), 島崎英樹(石川県立中央病院救急総合診療科)
抄録 症例は28歳女性.平成19年8月家族で焼肉店にて飲食をした.4日後=第1虚日より発熱腹痛血便が出現し当院を受診細菌性腸炎の疑いにて同日入院となった.便培養の結果から0-157:VTIVT2産生が検出された.絶食補液抗菌薬:FOMにて加療していたが第6病日に急性腎不全血小板著減溶血性貧血を認め溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断しフサンハプトグロビンγグロブリンの投与と人工透析を施行した腎機能血小板の減少などは改善傾向を認めたが第10病日に突然左半身優位の全身痙攣と痙攣後の意識障害:JCS3桁四肢の不随意運動が出現した.脳波で脳全体の云云化を認めMRI DWIにて両側皮質全体に高信号を認めた脳症の合併と考えさらに血液塗沫検査で破砕赤血球の増悪を認めたため漉けいれん薬の多剤併用に加えステロイドパルス療法を3日間続いて血漿交換を3日間施行した.ステロイドパルス後から破砕赤血球は減少し徐々に自発開眼を認めるようになったが痙攣はしばらく持続しchildishな話し方と記憶障害感情失禁を一時認めた.これらはその後の2週閲ほどのリハビリにて改善した.また経過中に抗けいれん薬による薬剤過敏性症候群を併発しプレドニンの内服加療を要した第40虚日に脳波MRIの正常化を確認し第56病日に退院となった.成人で0-157感染からHUSを発症し脳症を併発する例は稀であるHUSに脳症を併発した場合は確立された治療法はなく死亡率が高い.急性期を乗り切っても長期的な後遺症を残す率が高いと報告されている.本例においてはステロイドパルス療法が著効したと考え一時的に脳高次機能障害を認めながらも後遺症を残さず完全回復に至った.当日は文献的考察を加えて報告する.
索引用語