セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P406 低用量アスピリンを服用中にびまん性の結腸炎をきたした一例

演者 平野敦士(下関市立中央病院消化器科)
共同演者 中島穣(下関市立中央病院消化器科), 安田大成(下関市立中央病院病理部), 真弓武仁(下関市立中央病院膠原病科), 西田誉浩(下関市立中央病院心臓外科), 松本主之(九州大学病態機能内科学), 飯田三雄(九州大学病態機能内科学)
抄録 現在血管性疾患などに対し低用量アスピリンが広く使用されている.低用量アスピリンの合併症として上部消化管病変についてはよく知られているが下部消化管病変については十分に認知されておらず不明な点も多い、今回我々は低用量アスピリンを服用中に難治性の下痢をきたし大腸内視鏡注腸X線検査にてびまん性の結腸炎を認めた一例を経験した.症例は64才女性.平成元年より糖尿病で当院膠原病科に通院中であった.平成17年11月に冠動脈三枝病変に対して冠動脈バイパス術を施行され以後アスピリン1日100mg服用を行っていた.平成19年7月より下痢があり整腸剤を投与され経過をみられていたが改善みられないため同年9月に当科紹介となった.大腸内視鏡を施行することとなり検査前にアスピリンの服用を1週間中止したところ下痢は改善した.大腸内視鏡では終止回腸には異常所見みられなかったが盲腸からS状結腸まで粗ぞうで浮腫状の粘膜がみられ横行結腸には浅い不整形の潰瘍が散在していた。直腸には明らかな異常所見みられなかった.病変部からの生検では血管炎や肉芽腫等の特異的所見はみられず陰窩増殖体にアポトーシス小体が散見された注腸X線検査でも盲腸からS状結腸まで粗ぞうな粘膜がみられた.臨床経過画像所見生検結果などから低用量アスピリンに起因した薬剤性腸炎と診断しアスピリンの服用を中止したところ以後下痢の再発はみられなかった。低用量アスピリンによりこのような広範な結腸病変をきたしたとの報告は稀であり若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語