セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P415 80歳以上の高齢者肝細胞癌症例に対する肝動脈化学塞栓療法の予後とQOLに与える影響

演者 八辻賢(東京女子医大消化器内科)
共同演者 鳥居信之(東京女子医大消化器内科), 大森格(大森胃腸科), 橋本悦子(東京女子医大消化器内科), 白鳥敬子(東京女子医大消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌患者は年々高齢化し80歳を超える症例も少なからず経験する.肝動脈化学塞栓療法(TACE)はマイクロカテーテルの登場で浸襲も少なくなり合併症が問題となる高齢者の治療法として選択されることも多い.そこで今回我々は80歳以上の高齢者肝細胞癌症例に対するTACEの予後とQOLに与える影響を検討した.【対象と方法】2003年から2007年10月に当科で施行した80歳以上のTACE症例33例(男性22例女性11例)を対象とした.マイクロカテーテルを用いて選択的にTACEを施行し治療時およびその後の合併症施行しえたTACEの回数長期予後について検討した.【成績】肝予備能はChild-Pugh A 27例B 6例TNM stage別ではstage1が4例2が12例3が15例4Aが2例であった.肝疾患の成因はHCVが24例HBV 2例HBV+HCV 1例AIH1例NASH2例tアルコール3例であった。TACE時およびその後に重篤な合併症をきたした症例はなく施行回数は平均約2回で3回以上施行した症例も9例(26%)存在した.全体の生存率は1年81.3%2年M.3%3年47.9%で日本肝癌研究会の全国追跡調査におけるTACEの全体生存率とほほ同様であった. TNM stage別検討ではStagel2症例は観察期間中(中央値11ヶ月3ヶ月~51ヶ月)死亡例を認めなかったがStage34症例の生存率は1年59.2%2年43.1%3年16.2%で全国追跡調査の同stageの生存率と比較して劣っていた.【結語】80歳以上の高齢者においても重篤な合併症がなければTACEは比較的安全にQOLを保ちながら複数回施行することが可能である.予後に関しても肝予備能が良好でStage2までの肝癌進行度であれば他の年齢層と差異は認めず治療法として積極的に考慮すべきと考えられた.
索引用語