セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P427 肝細胞癌との鑑別に苦慮した肝血管筋脂肪腫の2例

演者 高原政宏(三豊総合病院内科)
共同演者 三宅康広(三豊総合病院内科), 安原ひさ恵(三豊総合病院内科), 松本和幸(三豊総合病院内科), 河合大介(三豊総合病院内科), 加地英輔(三豊総合病院内科), 豊川達也(三豊総合病院内科), 中津守人(三豊総合病院内科), 安東正晴(三豊総合病院内科), 廣畑衛(三豊総合病院内科)
抄録 肝血管筋脂肪腫(以下肝AML)は血管脂肪平滑筋細胞の3成分から構成される比較的稀な良性腫瘍であるが画像診断技術の進歩により報告例が増加している.肝AMLは個々の症例で3成分の割合が異なるため画像所見が様々であり他の肝腫瘍特に肝細胞癌(以下HCC)と鑑別を要することがある.今回HCCと鑑別を要した肝AMLを経験したので報告する.<症例1>56歳男性.H19年6月心窩部痛にて近医受診.腹部エコーCTにて尾上葉に腫瘤を認めHCC疑いで紹介となった肝炎ウイルスマーカー自己抗体腫瘍マーカーは陰性であったがCTでは動脈相で濃染門脈相でwash out認めMRIではT1で低信号T2で高信号SPIO造影MRIでは信号低下を認めずHCCを疑った.しかし血管造影では腫瘍濃染を認めるものの内部が均一に染まりHCCには非典型的であった.以上よりHCCを否定できないため拡大左葉切除を行ったが切除病理標本では肝AMLとの診断であった.〈症例2>78歳女性.糖尿病で通院中である.H17年12月肝外側区域の腫瘤に対して生検を行い肝AMLと診断され以後外来にて経過観察中であったH19年3月腹部エコーにて腫瘍の増大を認めCTMRIで腫瘍の一部に動脈相で濃染門脈相でwash out認める部位があった. PIVKAHの上昇もありHCCの合併を疑い同年4月肝生検施行するも診断はつかなかった.同年8月腫瘍はさらに増大再度肝生検施行するも診断はつかなかった.増大速度が速いことPIVKAHの上昇もあることからHCCを否定できないため同年9月t外側区域切除を行ったが切除病理標本では肝AMLとの診断であった肝AMLは確定診断がつけば経過観察可能な良性腫瘍であるが本症例のように増大傾向を示すものHCCなどの悪性腫瘍と鑑別困難な症例も存在する.HCCのリスクファクターを有さない症例に発生した肝腫瘍ではAMLの鑑別が必要と思われた.
索引用語