セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P430 黄色肉芽腫性胆嚢炎の4例

演者 松永和哉(静岡がんセンター肝胆膵外科)
共同演者 金本秀行(静岡がんセンター肝胆膵外科), 前田敦行(静岡がんセンター肝胆膵外科), 古川敬芳(静岡がんセンター画像診断科), 上坂克彦(静岡がんセンター肝胆膵外科)
抄録 【はじめに】胆嚢の良悪性鑑別困難な症例を時に経験する.黄色肉芽腫性胆嚢炎はその代表例であり胆嚢癌ないしは胆嚢癌疑いと術前診断し手術を行うこともしばしばある.今回我々は癌専門施設において経験した黄色肉芽腫性胆嚢炎の特徴を検討した【対象・方法】2002年9月より2007年8月までの5年間に当科で切除をおこなった胆嚢疾患は79例でありうち28例(35%)が良性疾患であった経験した良性疾患のうち4例が黄色肉芽腫性胆嚢炎であった.これら4例の臨床病理所見について検討した.【結果】年齢は63(44-80)歳で全例男性であった.主訴は腹痛2例体重減少1例他疾患経過観察中の検査での指摘1例であった.熱発や閉塞性黄疸をきたした症例はなく全例肝機能は正常であったが1例で白血球の軽度上昇を認めた.CEAは全例正常CA19-9は1例で上昇していた.画像検:査では全例MDCTが行われ境界不明瞭な胆嚢壁の不整・肥厚を認めたがその程度から2例を胆嚢癌〉胆嚢炎2例を胆嚢炎〉胆嚢癌2例と診断した.3例に胆嚢頸部結石を認め1例は総胆管結石を認めた.USは3例に行われたが良悪性の鑑別は困難であった.FDG-PETは3例に行われ全例胆嚢に集積を認めた.術前検査で胆嚢癌の可能性が高いと考えた2例は手術までの間にCTの再検(初回より14ヶ月後)を行い胆嚢壁の肥厚が乏しくなっていた.このうち1例ではFDG-PETの集積も弱くなっていた.手術は3例に胆嚢摘出術1例に拡大胆嚢摘出術が行われた.切除標本で癌の合併は認めなかった.【結語】黄色肉芽腫性胆嚢炎は術前検査で癌の否定が難しかった.しかしCTやFDG-PETの再検が行われた症例では胆嚢癌を疑う所見が乏しくなっていたことから胆嚢癌を強く疑うが胆嚢炎が否定できない症例では切除までに画像検査の再検を行うことが良悪性鑑別の一助になると考えられた.
索引用語