セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P438 総胆管内まで表層拡大進展した巨大粘液産生胆嚢癌の一例

演者 小道大輔(県立安芸津病院内科)
共同演者 梶原剛(県立安芸津病院内科), 杉山真一郎(県立安芸津病院内科), 五石宏和(県立安芸津病院内科), 藤堂祐子(県立安芸津病院内科), 三浦敏夫(県立安芸津病院内科), 井上正規(県立安芸津病院内科)
抄録 【症例】患者は74歳女性生来健康であった.2007年10月右季肋部に手拳大の腫瘤を触知したため当院受診同部に圧痛を認めなかった.血液検査にてT-bil 1.6mg/dlGOT 761層目LGPT 851U/LALP 16041U/しと肝胆道系酵素の上昇を認めた.腫瘍マーカーに関してCEAは1.7ng/mlと正常CA19-9は6L6U/m1と軽度上昇を認めた.腹部USCTにて95mm × 70mm大の胆嚢腫瘍を認めた.胆嚢壁は20mm強の厚さでびまん性不整形に肥厚一部に肝浸潤を認めた.腫瘍はさらに胆嚢管に沿って連続性に進展し総胆管内に門脈浸潤を伴う結節性腫瘤を形成していた.結節性腫瘤より上部の胆管拡張を認めたが下部胆管も嚢状に拡張していたため膵胆管合流異常等の合併を疑いERCP及びIDUSを施行した.中部胆管に突出する25mm x 55mm大の結節性腫瘤像と肝内胆管の著明な拡張を認めたが合流異常は認めなかった.下部胆管には多数の結石充満と粘液貯留を認め膨隆したVater乳頭にESTを施行すると多量の粘液が流出した.砕石術を行った後胆管腫瘍生検(中分化型管状腺癌)及び胆汁細胞診(class V)を施行した.結石は純コレステロール石であった胆嚢癌Stage lVaと診断し胆道メタリックステント術を施行後TS-1による化学療法を行っている【考察】広範囲に表層拡大進展した粘液産生胆嚢癌の一例を経験した.本症例に合併した総胆管結石は胆管原発としては珍しい純コレステロール石であったためCTで結石が描出されず診断に苦慮した.結石の生成には多量の粘液貯留に伴う胆汁うっ滞が寄与していた可能性が示唆された.粘液産生胆嚢癌は比較的緩徐に進行し切除可能な症例も多いことが特徴であるが不明な点も未だ多く本症例はその自然史を考える上でも非常に貴重な症例である文献的考察を含めて報告する.
索引用語