セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P448 原因不明の後腹膜血腫の1例

演者 豊島明(日本赤十字社医療センター外科)
共同演者 遠藤健(日本赤十字社医療センター外科), 赤井隆司(日本赤十字社医療センター外科), 佐野圭二(日本赤十字社医療センター外科), 永岡栄(日本赤十字社医療センター外科), 丸山嘉一(日本赤十字社医療センター外科), 酒井敬介(日本赤十字社医療センター外科), 磯山徹(日本赤十字社医療センター外科), 武村民子(日本赤十字社医療センター病理)
抄録 [はじめに]原因不明の後腹膜血腫にて腹腔内ドレナージ術後腸管離断を併発した一例を経験したので報告する.[症例]患者は52歳男性.平成18年12月下痢腹痛嘔吐を訴え外来初診.来院直上腹部中心に圧痛を認めた.CT上左上腹部にdensityの高い不均一な腫瘤陰影を認めた.出血を伴う後腹膜疾患が疑われ同日緊急開腹手術を施行した.開腹時姦曲曲部の後腹膜を中心に多量の凝血塊を認めたが出血源は同定できずドレーン留置後直面した.後日施行した血管造影検査では横行結腸領域の動脈に不整像が認められたが出血部位は同定できなかった.その後横行結腸皮膚痩を形成し本年1月双面式人工肛門を回腸に造設した.術後腸痩は自然閉鎖し本年8月横行結腸切除術と人工肛門閉鎖術を施行した.開腹時横行結腸は肝轡曲部より10cmの部位で索状組織に移行しており大腸は完全に消失していた.左側横行結腸は脾轡曲部より15cmの部位より再度索状物として確認された.加冠曲部は周辺組織と強固に癒着していた.遊離した口訣横行結腸と肛門側横行結腸を端端吻合し人工肛門を閉鎖した.病理では切除した横行結腸消失部にリンパ濾胞の形成を認めたが肉芽面様の変化等は認められなかった.[考察]後腹膜血腫の原因としては鈍的腹部外傷や後腹膜腫瘍動脈破裂血液疾患抗凝固療法などが誘因となることが多い.自験例はこれらの誘因がなく生じた後腹膜血腫で原因不明と考えられた.原因不明の後腹膜血腫の報告例は過去に12例あり原因不明の後腹膜疾患を認めた場合後腹膜血腫も念頭に入れる必要があると考えられた.
索引用語