セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P461 潰瘍に合併した幽門狭窄で拡張した胃からの圧迫のために下大静脈症候群をきたしたと考えられる一例

演者 大野恭太(愛仁会千船病院内科)
共同演者
抄録 良性潰瘍による幽門狭窄は潰瘍治療の進歩した現在頻度の低い合併症である.この通過障害のために生じる胃拡張が下大静脈を圧迫してその閉塞症状をきたすことは解剖学的に考えられるものの実際にその症状を呈することは稀と思われる.今回経験した症例はまさにこの病態と考えられた.症例は65歳の男性で腹部膨満と下腿浮腫を主訴に来院.腹部CTにてきわめて高度の内容物貯留による胃拡張大量の腹水腎静脈以下の下大静脈造影不良を認めて入院となった.当初膵腫瘍による十二指腸下大静脈の閉塞を疑ったが内視鏡検査上部消化管造影検査では幽門の潰瘍性狭窄を認めたのみであった.このため胃内容の吸引絶食を行い抗潰瘍剤消化管運動改善剤の投与を続けたところ3日で症状は劇的に改善しCTに見られた腹水なども軽快した食事を分割食とし上記の内服を続けることで症状の再燃を認めることなく現在に至っている内視鏡的に潰瘍治癒はゆっくりでも確実で繰り返し行った生検でも悪性は否定されている下大静脈の閉塞症状をきたした幽門狭窄は稀と思われるので考察を加えて報告する.
索引用語