セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P464 門脈ガス血症胃壁内気腫を伴った上腸間膜動脈症候群の一例

演者 河野知樹(医療法人財団大樹会総合病院回生病院内科)
共同演者 木田裕子(医療法人財団大樹会総合病院回生病院内科), 松岡裕士(医療法人財団大樹会総合病院回生病院内科), 平田修三(医療法人財団大樹会総合病院回生病院内科), 中山賀央(医療法人財団大樹会総合病院回生病院内科), 伊藤智美(医療法人財団大樹会総合病院回生病院内科)
抄録 【症例】83歳女性【現病歴】脳梗塞後盾症のため寝たきりであった.平成19年5月13日より発熱嘔吐が出現し近医で点滴加療をされていた.5月14日深夜に黒色の直物を嘔吐後血圧低下および呼吸状態の悪化を来たしたため当院救急外来を受診した.【経過】来院時WBC 28000/plCRP 28.5mg/dlと著明な炎症所見を認めDICスコアも7点と高値であった.腹部CTでは胃から十二指腸にかけて著明な拡張がみられ胃壁内および肝内門脈にガス貯留を認めた.消化管の拡張は十二指腸水平脚付近で途絶えており上腸間膜動脈症候群が疑われた.胃管挿入にてガスおよび黒色の胃内容物が多量に吸引され腹部の膨隆所見は改善した.その後の腹部造影CTでは門脈内のガス像はわずかとなり胃壁内のガスも減少していた.胃壁に造影効果が認められたため保存的に加療を行う方針とした.翌日の上部消化管内視鏡検査では中部食道から胃前庭部にかけて全周性の発赤壊死組織の付着を認め虚血性変化として矛盾しない所見であった.保存的治療にて全身状態が改善傾向となった後も内視鏡的には胃壁の浮腫および粘膜からの出血は持続していたが回を追うごとに改善し第28楽日には経管栄養開始可能となった.【考察】門脈ガス血症は消化管壁内気腫に伴って生じるということが報告されている.腸管壊死を伴う頻度も高く不幸な転帰をとることが多い.本症例は長期臥床中の痩せ型の女性であり画像所見からも上腸間膜動脈症候群に起因する病態であることが疑われた今回上腸間膜動脈症候群に門脈ガス血症および胃壁内気腫を伴い保存的治療にて救命し得た一例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
索引用語