セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P472 原発性硬化性胆管炎の経過中に発症した右側結腸炎型潰瘍性大腸炎の1例

演者 松本由華(国立病院機構小倉病院消化器科・臨床研修部)
共同演者 山縣元(国立病院機構小倉病院消化器科・臨床研修部), 山口裕也(国立病院機構小倉病院消化器科・臨床研修部), 廣吉元正(国立病院機構小倉病院外科), 渡辺次郎(国立病院機構小倉病院研究検査科)
抄録 症例は72歳女性平成9年(62歳時)心窩部痛嘔吐発熱を主訴に当院外科に入院.画像所見より胆嚢総胆管結石を合併した原発性硬化性胆管炎(PSC)と診断し胆嚢摘出術および総胆管切開ドレナージ術を施行した.その後はウルソデオキシコール酸の投与を行いながら外来で経過観察していた.平成19年3月頃より1日2-3行の下痢が出現した.血便はなかった.平成19年6月11日胆管炎のため当院外科に入院.入院時の腹部骨盤造影CTでは肝内胆管の拡張に加え横行結腸から上行結腸にかけての壁肥厚像を認めた.絶食と抗生剤投与による保存的治療を行い胆管炎軽快後に全心腸内視鏡検査を施行した.盲腸から横行結腸にかけて全周性連続性に血管透見像の消失した粗ぞう粘膜および多発小潰瘍を認めた.上行結腸および横行結腸より採取した生検病理組織像ではびまん性炎症細胞浸潤杯細胞減少陰窩膿瘍が認められた下行結腸から直腸にかけては肉眼的にも病理組織学的にも明らかな異常を指摘できなかった以上より右側結腸炎型潰瘍性大腸炎と診断した.5-ASA製剤の投与を開始したが胆管炎を思わせる心窩部痛と炎症反応の上昇が出現したため中止した.プレドニゾロンの投与を20mg/日より開始したところ症状は軽減した.以後漸減しながら外来で経過観察中である.原発性硬化性胆管炎と潰瘍性大腸炎の合併は欧米ではよく知られているが本邦では比較的稀とされている.貴重な症例と考え若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語