セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P482 クローン病に伴う中毒性巨大結腸症術後の短腸症候群に対する長期栄養管理の1例

演者 石井明子(東海大学医学部付属東京病院外科)
共同演者 岡本祐一(東海大学医学部付属東京病院外科), 石津和洋(東海大学医学部付属東京病院外科), 松井英男(東海大学医学部付属東京病院外科), 近藤泰理(東海大学医学部付属東京病院外科)
抄録 症例は39歳女性.1995年にクローン病を発症しフォローアップされていたが1997年6月より血便頻回となりステロイド動注療法を行うも1997年8月15日中毒性巨大結腸症を発症.開腹所見で全結腸および小腸広範囲の壊死を呈しており大腸全摘およびトライツ靭帯から80cmを残し小腸切除空腸痩造設を施行した.術後はHFを含む集中全身管理を施行し救命に成功.術後脱水下痢低栄養を伴う短腸症候群の管理として2007年7月までの10年間常食摂取に加え在宅TPNおよび半消化態栄養剤による栄養管理を行っていた.その間CVカテーテル感染に伴う熱発敗血症により計22回の入院カテーテル交換を繰り返した.2007年6月23日カテ熱により再入院となりカテ先培養および血液培養より真菌が検出された.CV抜去後入院にて維持輸液を行っていたが脱水・下痢の増悪ビタミン・電解質・微量元素値の異常をきたすことなく経過したためTPNからの離脱を試行し9月20日退院となった.現在常食摂取と一日600kcalの半消化態栄養剤摂取のみで外来フォローアップ中であるが脱水の所見なく退院後1kgの体重増加を認めBMI 17kg/m2で経過している.短腸症候群は炎症性腸疾患をはじめ絞掘建イレウス上腸間膜動静脈血栓症などの腸管虚血に伴う腸管の大量切除に伴う吸収障害と定義され残存小腸の長さ回盲弁の有無病変の遺残の有無切除腸管の部位などにより消化吸収の程度は異なる.今回術後10年を経過しTPNからの離脱を行った短腸症候群の1例を経験した.適正な栄養評価に基づいたQOLも含めた長期の栄養管理につき若干の文献的考察も含め報告する.
索引用語