セッション情報 一般演題(ポスター)

タイトル

P489 脱メチル化剤による癌治療の是非

演者 鈴木浩一(自治医科大学さいたま医療センター)
共同演者 小西文雄(自治医科大学さいたま医療センター), 宮木雄一郎(浜松医科大学第一外科), 岡田晋一郎(自治医科大学さいたま医療センター), 小泉圭(浜松医科大学第一外科), 神山秀範(自治医科大学さいたま医療センター)
抄録 (背景と目的)DNAメチル化阻害剤を用いた脱メチル化誘導による癌治療が血液腫瘍で一定の効果を上げ消化器癌にもその適応が広がろうとしている.一方脱メチル化誘導そのものが遺伝子発現の不活化や染色体の不安定性を惹起することにより癌を誘発するとも考えられメチル化阻害剤による二次発癌が危惧されるがその詳細な検討はない.そこで我々はメチル化阻害剤による遺伝子修飾の変化をゲノムワイドに検出し二次発癌への影響を明らかにすることを目的とした(対象と方法)in vitroで線維芽細胞株にアザシチジン処理を行い2週間培養し脱メチル化を誘導したところでゲノム全域にわたるメチル化異常を検出した.メチル化異常の検:出にはMethylation sensitivearnplhied length polymorphism(MS-AFLP)法を応用したMS-AFLPマイクロアレイを用いた.ゲノム全域の9654箇所すべてのNot I siteをアレイに搭載し対照ゲノムに対するシグナル比が二倍以上をcut-off値とした.特定の遺伝子のメチル化異常はMethylation sensitivePCR(MSP)で再確認した.(結果)アザシチジン処理により線維芽細胞株にプロモーター領域で3.8%の脱メチル化5.2%のメチル化誘導が認められた.プロモーター領域外では4。8%の脱メチル化8.4%のメチル化誘導が認められた.アレイに搭載された15番染色体のインプリント遺伝子7遺伝子のうちGATMは脱メチル化がSNRPNはメチル化が充進しているのが観察されMSPでも同様の結果だった.脱メチル化剤の投与により脱メチル化のみならずメチル化も誘導され、遺伝子修飾の不均衡が生じていた.(結語)DNAメチル化阻害剤は遺伝子修飾の複製に異常をまねく危険性が示唆された.
索引用語