抄録 |
[目的]高齢者大腸癌切除例を臨床病理学的に検討した[対象]平成7年6月からの80歳以上41例を高齢者79歳以下222例を非高齢者として比較した.[結果]高齢者は結腸癌33例直腸癌8例非高齢者は結腸癌134例直腸癌88例であった.高齢者の進行程度はstageO:3例(7.3%)1二3例(7.3%)2:18例(43.9%)3a:11例(26.8%)t 3b:2例(4.9%)4:3例(7.3%)で非高齢者は0:16例(7.2%)1:44例(19.8%)2:73例(32.9%)3a:43例(19.4%)3b:19例(8.6%)4:26例(11.7%)と差がなかった.切除術において根治度Aは高齢者で37例(90.2%)非高齢者で195例(878%)であった.リンパ節郭清は高齢者でDO:1例(2.7%)Dl:8例(21.6%)D2:13例(35.1%)D3:15例(40.5%)でn=D:4例(125%)n〈D=32例(87.5%)であった.非高齢者ではDO:7例(3.6%)D1:14例(7.1%)D2:57例(29.1%)D3:118例(602%)でn=D:12例(6.1%〉n<D:184例(939%)であった.高齢者の治癒切除直腸癌が少数だったためこれらを除いた累積5年生存率は高齢者結腸癌83.4%(n=30)Rs描66.7%(n=6)非高齢者結腸癌90.6%(n=110)Rs癌81.2%(n=37)と高齢者Rs癌で不良であったが有意差はなかった.また高齢者の郭清度:ではn=D:66.7%n<D:82.2%とn=Dで不良であったが有意差はなかった.術後合併症は軽微なものも含め高齢者4例(9.8%)非高齢者21例(9.5%)に認めたが差はなかった切除術の可否を知るために術前に小野寺指数(10×alb.+0.005×リンパ球数)を検討したところ高齢者の平均は45±5.5(n=14)非高齢者49士49(n=73)と有意に高齢者で低かったが切除不可能な40以下ではなかった.指数と術後合併症の関係も明らかでなかったが指数34の高齢者に重篤な肺合併症を認めた.[結語]高齢者大腸癌の進行程度は非高齢者と同様であるが切除術において症例に応じたりンパ節郭清である程度の予後は期待できる. |